選ばれ続ける今治タオルへ
公開日:2026.10.15
今治タオルは、全国で広く知られる地域ブランドとなりました。しかし、知名度が高いからといって、選ばれ続けるとは限りません。品質基準に合格することは、今治タオルの大切な土台です。そのうえで、誰が、どのような思いで作り、産地がどのような歴史を歩んできたのかを伝えることが、これからのブランドには必要だと考えています。
今治タオルプロジェクトが始まった当時、産地は生産量の減少や価格競争の激化など、厳しい状況にありました。そこで、単に「今治で作られたタオル」と伝えるのではなく、独自の品質基準を設け、産地全体で価値を高めてきました。その積み重ねが、現在の信頼につながっています。
一方で、名前を知っていただくことと、手に取り、使い続けていただくことは同じではありません。品質の良さをどう自分ごととして感じていただくか。若い世代や海外の方々に、どう接点をつくるか。今治タオルは今、知名度を高める段階から、なぜ選ばれるのかを伝える段階に入ったのだと思います。
その一つとして、東京で今治タオルに触れていただくイベントを検討しています。メーカーや職人がものづくりの背景を伝え、吸水性をはじめ、品質を体験していただく場にしたいと考えています。技術や人の魅力に触れ、今治タオルを知ることから、選び、使うことへつなげたい。そして、今治という産地にも関心を持っていただきたいと思います。
もう一つ、産地の歴史を未来へつなぐため、かつて今治のタオル産業を支えた「興業舎第1工場」の壁の移築保存と活用を検討しています。この壁は、今治のタオル産地の歴史を今に伝えるものです。古い建物の一部を残すことが目的ではありません。先人の歩みや産地の記憶を受け継ぎ、人が集まり、今治タオルを語り合える場所として、次の時代に生かすことに意味があります。
一枚のタオルは、糸をつくる人、織る人、染める人、縫う人、仕上げる人、検査する人、販売する人まで、多くの仕事がつながって生まれます。私自身、産地の現場に関わる中で、その積み重ねこそが今治タオルの強さだと感じています。
品質と信頼を守るだけでなく、その背景にある人、技術、歴史まで伝える。今治タオルが今後も選ばれ続け、産地で働く人たちが誇りを持てる存在であるために、知名度の、その先へ歩んでまいります。
一覧へ戻る