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各種調査レポート

結婚を望む若者が直面する課題と対応~結婚観に関する調査②~

調査レポート

結婚を望む若者が直面する課題と対応~結婚観に関する調査②~

公開日:2026.10.15

續木 美和子

要旨

1.2026年7月号に掲載した結婚観に関する愛媛大学との共同調査では、結婚意向にどのような要因が関連しているか統計的手法を用いて述べたが、今回は、前回の調査結果をふまえつつ、統計分析の対象とならなかったアンケート結果を中心に、改めて結婚観についてまとめた。
2.県内の20~30歳代の未婚者で結婚意向があるのは62.9%で、結婚意向がある人が独身でいる理由は、「適当な相手にまだめぐり会わない」が55.1%で最も多い結果となった。
3.未婚者のうち交際経験がない割合は48.9%、結婚意向がある人のなかでは35.4%となった。性別でみると、男性のほうが恋愛に消極的な姿勢がみられた。また、マッチングアプリの利用経験は、全体では「利用したことがある」が36.2%となった。交際相手の有無別にみると、交際経験がない人のうち、利用したことがない割合は7割を超えた。
4.結婚後も共働きを望む割合は74.8%で一般化しつつある。ライフデザイン学習経験は「なし」が69.2%と圧倒的に多い。学習経験別に結婚意向をみると、学習経験がある人の方が結婚意向が高い傾向がみられた。
5.「出会い不足」と「交際経験不足」を解消するための手段の一つに、「えひめ結婚支援センター」の活用が挙げられる。共働きは一般化しており、性別による役割分担などの固定観念を払拭する職場づくりが求められる。また、結婚意向と強い相関のあるライフデザイン学習の積極的な推進とともに、高校や大学といった早い段階での実施が望まれる。

前回の振り返り

 2026年7月号に掲載した結婚観に関する愛媛大学との共同調査では、①結婚相手に求める条件②恋愛に関する価値観・経験③将来に対する価値観・行動④人とのかかわり⑤ライフデザインの学習経験の5つの観点から、結婚意向との関係について統計手法を用いて調査し、以下のことが分かった。
①結婚相手に求める条件
 相手の「職業」や「家事・育児への取り組みや考え方」を重視する人ほど、結婚意向が高い傾向がみられた。
②恋愛に関する価値観・経験
 交際経験の有無や、他人からの好意に対する反応は、結婚意向と強い正の相関(特に女性で顕著)を示した。
③将来に対する価値観・行動
 将来に対する「ライフプラン」を明確に持っていることや、月々の「貯蓄額」が高いことは、結婚意向と有意な正の相関を示した。
④人とのかかわり
 地元愛が強いこと(特に女性)や、地域のイベント等への参加意向が高いことは結婚意向と結びつきやすいことが示された。
⑤ライフデザイン学習の経験
 「ライフデザイン学習の経験」がある回答者ほど、将来に対するイメージが明確になり、結婚に対しても前向きな意向を持つ傾向が確認された。

アンケート結果

 今回の調査では、前回調査の結果をふまえつつ、統計分析対象にならなかったアンケート結果を中心に、改めて結婚観についてまとめた。

結婚意向があるのは約6割

 県内の20~30歳代の未婚者に結婚意向を尋ねると、結婚意向がある(「結婚したい」と「どちらかといえば結婚したい」の合計)のは62.9%であった(図表-1)。
 男女別でみると、男性よりも女性の方が結婚意向が高い。年代別でみると、30歳代よりも20歳代の方が結婚意向が高い結果となった。

結婚への障壁は出会い不足

 結婚意向のある人に、独身でいる理由を尋ねると、男女ともに「適当な相手にまだめぐり会わない」(55.1%)が最も多い結果となった(図表-2)。結婚意向がある人にとって、結婚に向けた最大の障壁は“出会い不足”と言える。

《自由記述》
⃝理想とする異性に出会える場がない(女性・21歳)
⃝出会いがないし、そもそもどう出会えばいいのか分からない(男性・24歳)
⃝在宅勤務なので、異性との出会いがない(男性・25歳)


結婚意向がない背景にも出会い不足

 結婚意向がない人に、結婚したくない理由を尋ねると、「自由や気楽さを失いたくない」、「結婚にメリットを感じない」「結婚したいと思う相手がいない」が上位に並ぶ(図表-3)。「結婚したいと思う相手がいない」のは出会いを諦めた結果と言えよう。また女性で「家事・育児の負担が大きい」が高いのは、「男性は仕事、女性は家事・育児」といった価値観への不安が影響している可能性がある。

《自由記述》
⃝いい人と出会ったり付き合ったり結婚したりという想像が全くできない(女性・20歳)
⃝結婚すると自分の時間が取れずに家政婦になるようだ(女性・25歳)
⃝好きや愛しい気持ちだけではやれない。どうしても金銭的な部分が不安(女性・29歳)
⃝経済的に結婚は難しい(男性・21歳)
⃝一緒に生活していくのが苦痛にならないか、1人の時間がどれだけ作れるか、自分の趣味への理解があるか。結婚=幸せなのか?(女性・30歳)


「交際経験がない」が半数、男性の方が顕著

 交際経験の有無を尋ねると、一度も交際経験がない割合が48.9%となり、約半数を占める(図表-4)。

 男女別、年代別にみると、男性の方が交際経験のない割合が高く、女性を17.1ポイント上回って59.1%となった(図表-5)。30歳代の男性では6割超で交際経験がなく、恋愛に消極的な姿勢がみられる。

結婚意向がある人で交際経験なしは3割超

 結婚意向がある人のなかで、交際経験がないのは35.4%となった(図表-6)。未婚者全体の割合(48.9%)よりは低いものの、3割超に上る。
 男女別にみると、男性の方が交際経験のない割合が高く、女性を14.2ポイント上回って44.4%となった。ここでも男性の方が恋愛に消極的な姿勢がみえる。


~統計的アプローチ(前回調査 抜粋)①~
  前回調査では、交際経験がある人ほど結婚に対する意欲が高まる結果が得られた。男女別でみると女性の方が、その事象の起こりやすさを示す「オッズ比」の値が大きく、結婚意欲と交際経験の相関が強い結果となった(図表-7)。
  今回の調査では交際経験のない人が半数を占めており、交際に踏み出すサポートができれば、婚姻数の増加に寄与する可能性が示唆される。

結婚への自信は「なし」が6割

 結婚意向がある人に結婚への自信を尋ねたところ、全体では「なし」(61.6%)が「あり」(38.4%)を大きく上回る(図表-8)。
 性別では男性のほうが自信がない割合が高い。交際経験の有無別では、交際経験がある方が結婚に対する自信が増す傾向がみられた。

《自由記述》
⃝結婚して環境が変わると、そこでうまくやっていけるのか不安が大きい(女性・36歳)
⃝あらゆる面で自分に自信がない(女性・32歳)
⃝給料は低いし物価が高いので結婚後の生活に自信がない(女性・26歳)


マッチングアプリの利用は4割弱

 マッチングアプリの利用経験をみると、全体では「利用したことがある」が36.2%となった。交際相手の有無別にみると、交際経験がない人は、利用したことがない割合が7割を超えた(図表-9)。
 マッチングアプリの利用が交際経験につながっている可能性がある。

《自由記述》
⃝ロマンス詐欺に合うのではないかと心配である(男性・35歳)
⃝変な人がいるかもしれないから不安(女性・37歳)


~ネット経由の婚姻が増加~
  国立社会保障・人口問題研究所によると、初婚同士の夫婦の5組に1組がマッチングアプリなど「ネット」を通じて知り合ったという(図表-10)。前回調査(2021年)と比較すると、「職場や仕事で」「友人・兄弟姉妹を通じて」が減った一方で、「ネットで」が倍増している。

 新しい出会いの形として期待されるものの、アプリを悪用したトラブルなど不安の声も聞かれており、安心して利用できる仕組みづくりが求められる。


希望する子どもの数は「2人」が最多

 希望する子どもの数は、全体では「2人」が32.1%と最も多く、次いで「わからない」が30.8%となった(図表-11)。
 結婚意向別にみると、結婚意向がある人は「子どもが欲しくない」が1割にとどまり、6割超は子どもを持つことに前向きな姿勢がみられた。一方で、結婚意向がない層でも子どもは欲しいとの回答も一定数あった。

《自由記述》
⃝子どもはほしいが、年齢的に出来るか不安(女性・38歳)
⃝結婚自体に興味はないが、子育てはしたいと思う(男性・20歳)


結婚後も7割以上が共働きを望む

 結婚意向のある人で結婚後も夫婦共働きを望んでいるのは74.8%となった(図表-12)。共働きはもはや一般的になりつつある。

《自由記述》
⃝子どもは欲しいが、仕事が制限されることが心配(女性・29歳)
⃝共働きが普通になっている現代では、働くことと結婚は、両立しようと思ってもできない場合がある。女性は結婚によって生活に変化がある可能性があるため迷う原因になっている(女性・21歳)


ライフデザインの学習経験なしは約7割

 ライフデザイン学習経験については、「あり」は30.8%にとどまり、「なし」が69.2%と圧倒的に多い(図表-13)。

 学習経験別に結婚意向をみると、学習経験がある人の方が結婚意向が高い傾向がみられた(図表-14)。

~統計的アプローチ(前回調査 抜粋)②~
  前回調査では、企業、高校・大学などでライフデザイン学習を受けた経験がある人ほど結婚意欲が高まる結果が得られた(図表-15)。男女別でみると女性は大学・高校での学習、男性は企業等のセミナーでの学習が結婚意欲と相関が強い結果となった。
  今回の調査ではライフデザイン学習を受けていない人の割合が高いため、学習機会を増やすことで、婚姻数の増加に寄与する可能性が示唆される。

〜ライフデザイン学習の現場〜
  今回および前回調査(統計分析)において、ライフデザイン学習の経験があるほうが結婚意向が高い傾向が確認できた。
愛媛県では、進路やキャリア選択にあたって、自身の希望するライフデザインを考えるきっかけを提供するために、県内の高校生や大学生を対象に「ライフデザインワークショップ」を実施している。
  2025年度は愛媛県(少子化対策・男女参画課)主催のもと、県内の高校6校と大学4校で開催された。ワークショップでは、キャリアコンサルタントが講義やグループワークを通じて、ライフデザインの重要性や人口減少、未婚率の増加、晩婚化などの社会環境についても学ぶ内容となっている。また、助産師によるプレコンセプションケア(性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザインや将来の健康を考えて健康管理を行うこと)の動画では、生物学的出産適齢期や不妊についての知識も学んだ。

ライフデザイン講座(愛媛大学社会共創学部) 写真提供:愛媛県(少子化対策・男女参画課)

「えひめ結婚支援センター」石井氏に聞く

 アンケート結果から、結婚に向けた一番大きな障壁は「出会い不足」で、あわせて「交際経験不足」も背景にあることが分かった。
 そこで、愛媛県内で出会いや交際をサポートしている「えひめ結婚支援センター」(運営:一般社団法人愛媛県法人会連合会)のジェネラルマネージャー石井美奈子氏に当該センターの特徴や、アンケート結果への見解、今後の取り組みを聞いた。

えひめ結婚センターの特徴

  えひめ結婚支援センター(以下、センター)は、愛媛県が2008年に設置、愛媛県法人会連合会が運営を担っている。イベントの開催とお見合い事業を展開し、結婚を希望する人の出会いを応援しており、これまでに1,710組(2026.8.31時点)の成婚をサポートしてきた。
  多くの成婚をサポートした背景には、センターだけではなく、市町や約200社の応援企業が主催する「イベント回数の多さ」と、イベントや1対1のお見合い当日の参加者に対するフォローや、カップル成立後の伴走的なフォローなど「仲人的な役割を担う約200名のボランティア推進員」の存在がある。 

アンケート結果への見解

  あくまでもセンターで活動する中での体感にはなるが、会員の中には、会社と家の往復だけで出会いがないという人が多く見受けられる。また、社内恋愛はうまくいかなくなった場合に気まずいことから、若年層の間では敬遠される傾向にあるという話も聞く。社内での気まずさを避ける背景には、結婚後も共働きが前提という意識があるためなのだろうか。 
  また、会員の中には、交際経験がなく異性とのコミュニケーションが苦手という人がいるが、男性のほうが多いように思われる。そのため、会話が弾みやすい企画内容のイベント開催やボランティア推進員によるサポートで後押ししている。
  アンケート結果と同様、結婚の意向はあっても、自信がない人は多い傾向にある。また、男女ともに、結婚後の経済的な不安からか、相手の年収を気にする人も一定数いる。さらに、結婚後の同居生活を見据えて同棲するカップルが増えている。「失敗したくない」という慎重な姿勢がうかがえる。

今後の取り組み

  出会い・結婚を求めている人のなかには、センターの存在内容を知らない、もしくはその詳しい活動内容が伝わっておらず、会員となることに抵抗感がある人もいるだろう。そういった人に、センターの活動内容を知ってもらいたい。そのためには認知度を上げることが一番の目標。 
  企業内等でもセンターの活動内容を周知してもらえればありがたいが、上席から伝えた場合はハラスメントに該当する可能性があり、企業側からは「発信しづらい」との声が聞かれた。一方で、出会いに関する情報をもっと知りたいという若手社員の声も聞かれており、現場では情報のミスマッチが生じているように思う。このようなミスマッチがセンターでも起こらないよう県内の20歳代から30歳代の大学生、企業勤務者等をメンバーとする若手プロジェクトチームを立ち上げ、若者の生の意見をもらっている。

プロジェクトミーティング風景

プロジェクトメンバーAさん(20代)
同世代に気軽に利用してもらえるような仕組みを作り、地域活性化につなげたい。

まとめ

 アンケート結果によると、結婚に向けた一番大きな障壁は「出会い不足」で、その背景には「交際経験不足」があり、最終的には「結婚への自信がない」に繫がる構図がみえる。特に男性では交際経験のない割合が女性を17.1ポイント上回る59.1%となっており、男女間の恋愛意欲の格差が課題となっている。
 特徴的な点としては、結婚後も共働きを望む割合が74.8%と定着しつつある一方で、社内恋愛は「破局時の気まずさ」を理由に若年層で敬遠されているという意見も聞かれた。結婚後も仕事を継続することが前提となる時代背景が、「出会い機会の喪失」をもたらしている。
 結婚しない理由では、女性の「家事・育児の負担が大きい」割合が高くなっており、「男性は仕事、女性は家事・育児」という固定観念(アンコンシャス・バイアス)への不安が背景にあるようだ。
 また、「ライフデザイン学習」の経験がある人ほど結婚意向が高い傾向がみられたが、約7割が「学ぶ機会はなかった」と回答しており、学習機会の確保は重要な課題である。

今後の方向性

 以上を踏まえ、今後の方向性を考える。

えひめ結婚支援センターの活用

 「出会い不足」を解消するための手段の一つに、「えひめ結婚支援センター」の活用が挙げられる。センターの強みである多様なイベントや丁寧なフォローを活かすには、まずは認知度向上が最優先課題であろう。若手プロジェクトチームによる若者の生の声が、広報活動やイベントの企画運営に活かされることを期待する。

固定観念の払拭

 共働きは一般化しつつあり、「男性は仕事、女性は家事・育児」といった固定観念(アンコンシャス・バイアス)によるミスマッチが生じないよう仕事と家庭が両立できる職場環境の整備が求められる。具体的には、結婚後の働き方をイメージし、不安を和らげられるロールモデルの存在など「選ばれる職場づくり」が必要である。愛媛県が実施する「ひめボス宣言事業所認定制度」との連携や、育児と仕事の両立体験談を発信する企業内研修の促進が有効だろう。特に女性管理職やキャリア継続者のロールモデル化により、女性の結婚意思決定を支援する環境整備も必要だろう。

ライフデザイン学習の充実

 ライフデザイン学習経験と結婚意向は強い相関が確認できているが、初婚年齢のボリュームゾーン(最も多くの人が結婚する年齢)が20代後半であることや出産適齢期を考慮すると、「より早い段階での実施」が重要となる。前回調査では大学生の結婚意向は9割を超えていたが、社会人では6割に下がる結果となった。結婚に前向きな大学生の時期にライフデザイン学習を経験することは結婚意向の低下の歯止めとなるだろう。
 “いずれ結婚して子どもを”と考えている人がそれをいつ実現したいのかを明確にし、出産適齢期を正しく理解して、ライフプランニングを立てて行動することが求められる。これは特に男性の恋愛や交際への積極性、そして人生全体の見通しを持つことにもつながり、結果として結婚意欲の向上に寄与することが期待される。

おわりに

 個人の価値観やライフスタイルの多様化により、結婚は「必ずするもの」から「選択するもの」へと変化している。これ自体は社会的成熟の表れであり、否定されるべきものではない。しかし重要なのは、「結婚したいのにできない」という“不本意な未婚”が存在することである。本調査から明らかになったのは、結婚を望む若者たちが直面している出会い不足など現実的な困難であり、これらは個人の努力だけでは解決困難な構造的課題である。
 婚姻数の減少、ひいては出生数の減少は、地域社会の持続可能性に直結している。不本意な未婚の解消は、単なる個人の幸福追求ではなく、地域の将来を左右する重要な政策課題である。
 愛媛県においては、「えひめ結婚支援センター」の認知度向上、企業における固定観念の払拭と働き方改革の推進、学校教育段階からのライフデザイン学習の充実、これら三本柱を推進することによって、結婚と出産を通じた人口減少の抑制につながるのではないだろうか。
 今こそ、結婚支援を地域全体で応援・サポートするという視点を、より一層強化する時機が来ている。

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