「香川・愛媛せとうち旬彩館」が過去最高の売上高を記録!
公開日:2026.10.01
INDEX
はじめに
JR「新橋駅」銀座口前に立地する「香川・愛媛せとうち旬彩館」(以下、旬彩館)。愛媛県と香川県が共同運営するアンテナショップとして2003年3月にオープンし、1階に特産品売場とイベントスペース、2階にはご当地グルメを味わえるレストランを設けている。近年、売上高と来店客数ともに伸び続け、先日発表された2025年度の売上高は過去最高を記録した。今回は旬彩館の最新動向から、その要因と首都圏での愛媛県産品の売れ筋情報などを紹介する。
自治体アンテナショップの動向
自治体によるアンテナショップの始まりは、1990年代以降のバブル崩壊で有楽町や銀座に増えた空き店舗を活用して、自治体が地域の特産品を売り始めたことがきっかけとされている。94年に沖縄県が銀座、95年に鹿児島県が有楽町に出店し成功したことを受けて、自治体によるアンテナショップの出店が相次いだ。
一般財団法人地域活性化センター(以下、地域活性化センター)の実態調査によると、旬彩館と同じ「独立店舗」型は2020年の62店舗をピークに、その後はECの普及や新型コロナ、都心一等地での出店負担などから2022年に59店舗と初めて減少したものの、人流や消費の回復で2025年4月時点では61店舗まで回復した(図表-1)。売上高をみても、約7割の店舗が2024年度実績で前年度比増加(図表-2)するなど、自治体アンテナショップは再び注目され始めている。
旬彩館の動向
売上高の推移
近年の旬彩館の売上高は、インフレの影響もあり増加が続く。2024年度に売上高5.6億円とそれまでの最高額となり、2025年度にはそれを上回る5.9億円(前年度比4.2%増)で過去最高を記録した(図表-3)。地域活性化センターの調査によると、2024年度実績で売上高「5億円以上」は都内に6店舗しかない(図表-4)。上位6店舗には唯一「10億円以上」の北海道をはじめ、9億円台の広島県と7億円台の沖縄県、旬彩館と同じ5億円台には岩手県と鹿児島県のアンテナショップが並ぶ。
来店客数の推移
2025年度の来店客数は45.8万人(前年度比2.3%増)となり5年連続で増加し、2003年開館以来の累計は1,000万人に達した(図表-5)。コロナ前ピークの年間50万人台には届かないものの、地域活性化センターの調査(2024年度実績)では、61店舗のうち過半数が「20万人未満」のなか、旬彩館は順調に集客している(図表-6)。
「えひめ観光物産プラザ」山本所長に聞く
売上や集客が厳しいアンテナショップがあるなか、旬彩館が過去最高の売上高を記録した要因や愛媛の売れ筋商品など最近の動向について、「えひめ観光物産プラザ」の山本啓介所長に聞いた。
旬彩館が好調な要因
1.愛媛・香川の相乗効果と多様な品揃え
「柑橘」「海産物」「うどん」など、首都圏在住者にとってイメージが異なる愛媛と香川という2県の共同運営であることが相乗効果を生んでいる。
また、特産品中心のアンテナショップが多いなか、1階売場の運営は都内のスーパーが担っているため、普段使いできる調味料や食材などを多数取り揃えている。さらに、JR「新橋駅」銀座口の目の前というアクセスしやすい立地のため、平日の主婦層や会社帰りの人から週末の家族連れ、観光客まで、幅広い客層も好調な売上につながっている。
2.積極的な情報発信
1階売場での季節感の演出や商品PRのほか、各種SNSによる情報発信を強化している。例えば、インスタでは1階イベントスペースで開催する愛媛と香川の催事について週替わりで発信している。また昨年秋からはLINEを活用して、リピート客層向けのキャンペーン情報や紙ベースだったクーポン券をデジタル配布へ切り替えた。
3.レストラン「かおりひめ」のリニューアル
2026年4月24日、旬彩館2階のレストラン「かおりひめ」が2018年以来のリニューアルを経て再オープンした。店内は全てテーブル席とし、目抜き通りに面した窓側の席にはロールスクリーンや暖簾を備え付けて利用目的に応じて半個室となるよう自由度の高いレイアウトにした。
メニューも香川県産小麦「さぬきの夢」使用の讃岐うどんや骨付き鳥、愛媛県の宇和島鯛めし、焼豚玉子飯、釜揚げしらす丼などご当地グルメを充実させた。特にランチ定食は、リニューアル前は固定したセットのみだったがリニューアル後はご当地メニューに加え、香川のうどんにオプションで愛媛の各種ご当地ミニ丼をセットできるなど選択の幅を広げた。立地に合ったリニューアルのおかげで、再オープン後の売上高と利用客数はともに前年を上回って推移している。
愛媛の売れ筋情報
1.売上高ランキング
愛媛は「海産物」のイメージが強いせいか、ランキング上位は水産加工品が占める(図表-7)。特に1位の「徳用ちりめん」は旬彩館全体でも売上第1位の商品である。トップ10後半には菓子類やおつまみ系が並ぶ。愛媛のもう一つのイメージ「柑橘」の青果は、贈答用など単価は高いものの各品種の販売期間が短いためランキングには入っていない。
2.売れ筋商品の傾向
全体的に年間を通して店頭に並び、自宅利用できる商品が安定的に売れる傾向がある。また新橋という立地の特徴上、平日は会社帰りの立ち寄りが多く、帰宅後のおやつとして個包装の菓子類や柑橘であれば青果よりも加工品が好まれる。
商品構成や入れ替えは1階売場の運営会社に任せているが、旬彩館の方針として懐かしい商品や定番品と、新しい商品をうまく組み合わせていきたい。新しい商品を紹介する場として、月替わりで「今月のかくれた逸品」というコーナーを設けるなど、当館としても運営会社に提供できる情報を積極的に収集しているところである。
1階イベントスペースの紹介
1階売場の目抜き通りに面した一画で、愛媛と香川が週替わりのイベントを開催している。8月から9月の愛媛関係のイベントは以下の通りである。
- 8月中旬:田中蒲鉾(普段店頭には並ばない種類のじゃこ天)
- 8月下旬:マキノ海産(真鯛や真あじの干物、珍味など)
- 9月初め:高田商店(ゆずぽん酢しょうゆ、麦みそなど)
イベント出店は、毎年1月頃に県営業本部から県内事業者向けの募集があり、2月末~3月初め頃に応募者の中から選定して翌年度のスケジュールが決定される。都内で対面販売ができる数少ないチャンスなので、認知度向上はもちろん、購入者の生の声を聞くことで次の商品開発に生かすことができる。また、社員の販売教育の場として活用するなど、売上だけではない目的を持った事業者のニーズにもマッチするだろう。
これからの旬彩館
まずは首都圏で「愛媛」を知ってもらう場所としたい。特産品やレストラン、各種情報を通じて愛媛を知ってもらい、次は関心を持ってもらって、最終的には好きになってもらうことを目指している。また、首都圏在住の愛媛県や四国出身者には懐かしいと思われる場所でもありたい。それが他の物産展などとは違って旬彩館にしか出来ないこと、期待されていることだと思っている。
おわりに
自治体アンテナショップには、アンテナの名が示す通り総合的な地域情報の受発信という大きな役割がある。また近年は、「応援消費」という形で都内のアンテナショップが自治体を代表する場所の1つとみなされたり、首都圏在住者が地元とつながりを持てる場所であったりと、単なる物産販売を超えた存在としても注目されている。こうした変化を踏まえると、アンテナショップには大都市圏における自治体の魅力向上と地元産業の活性化という好循環の起点となることが今後ますます期待されるだろう。
首都圏在住の愛媛県または四国出身のみなさんはもちろん、愛媛から東京に出掛けた際にもぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。愛媛の魅力を再確認することだろう。
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