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各種調査レポート

【税務編】 自社株の評価方法はどう変わる?

経営・実務Q&A

【税務編】
自社株の評価方法はどう変わる?

公開日:2026.09.30

和泉会計事務所 税理士 和泉 真紀夫

Q. 後継者への自社株の贈与を検討しています。非上場株式の評価方法が見直されると聞きましたが、どのように変わるのでしょうか?また、今から何か対応しておく必要はありますか?
A. 国税庁では現在、非上場株式の評価方法について抜本的な見直しが検討されています。まだ検討段階ですが、今のうちに現在の自社株評価額や株主構成を確認しておくことが大切です。

概要

  非上場会社の株式には、上場株式のように日々の市場価格がありません。しかし、後継者へ株式を贈与するときや相続が発生したときには、税務上の株価を計算し、その価額を基に贈与税や相続税が計算されます。自社株は、現預金のように必要な分だけ簡単に売却することもできません。株価が高くなるほど後継者の税負担が重くなり、株式の承継が進まない原因にもなります。そのため、非上場株式の評価方法は、オーナー企業の事業承継に大きく関わる問題です。

 令和8年8月20日に開催された国税庁の有識者会議では、会社規模に応じて評価方法を使い分ける現在の仕組みを抜本的に見直す方向性が示されました。今後、さらに検討を重ねたうえで、最終的には税制改正の過程で決定される見込みです。

評価方法の見直し

 現行制度では、会社の総資産額、従業員数、取引金額などによって、大会社、中会社、小会社に区分します。大会社は上場会社の株価などと比較する「類似業種比準方式」、小会社は会社の資産と負債を基にする「純資産価額方式」、中会社は両者を組み合わせた方式が基本です。

 一方、見直し案では、会社規模による区分や類似業種比準方式を廃止し、原則として共通の「残余利益方式」を採用する方向が検討されています。簡単にいえば、会社の帳簿上の純資産に、その会社の「稼ぐ力」を加減して株価を計算する考え方です。会社に通常期待される利益を上回っていれば株価にプラスし、利益が低ければマイナスすることが想定されています。

 会社の大きさを基準に評価方法を選ぶ現在の仕組みから、会社が保有する純資産と収益力を重視する仕組みへ、評価の考え方そのものが変わる可能性があります。

企業の影響と今後の対応

 見直しが実施されても、すべての会社の株価が一律に上がるわけではありません。これまで純資産価額方式を使っていた小規模な会社では評価額が下がる可能性がある一方、類似業種比準方式を使っていた規模の大きな会社では、評価額が上がる可能性もあります。 

 影響は、会社の資産構成や収益力によって異なります。現時点では、具体的な計算方法や実施時期は決まっていません。見直しを理由に慌てて株式を贈与する必要はありませんが、事業承継の検討まで先送りするのは避けたいところです。

 まずは、①現在の自社株評価額、②株主構成と後継者、③株式を引き継ぐ時期の三つを確認しましょう。制度が変わってから慌てるのではなく、今のうちに自社株の「現在地」を把握しておくことが、円滑な事業承継の第一歩になります。

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