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各種調査レポート

【労務編】 11月の最低賃金改定を乗り切る!各種助成金活用戦略

経営・実務Q&A

【労務編】
11月の最低賃金改定を乗り切る!各種助成金活用戦略

公開日:2026.09.30

社会保険労務士法人 人的資源研究所 特定社会保険労務士・人事コンサルタント 平尾 由紀

Q. 愛媛地方最低賃金審議会答申により2026年11月1日から最低賃金が上がります。
経費負担が増えることになりますが、何か知って得する情報はありませんか

A. 最低賃金を下回っている従業員の時給を引き上げるだけでなく、会社全体の賃金体系を整合性が取れたものに見直すことが必要です。
 「キャリアアップ助成金」や「業務改善助成金」を活用し、従業員の定着化、現場の生産性向上に結びつけられてはいかがでしょう。

はじめに

 11月1日より愛媛県の最低賃金は、1、093円(60円アップ)となります。今回の引き上げ額は、国が提示した目安額56円を4円上回る額となりました。

 近年の引き上げ幅は大きく、企業経営において人件費の増加は避けられない課題となっています。この負担増を単なる「コスト増」として受け止めるのではなく、優秀な人材の定着と生産性向上のための「投資」へと転換する発想が求められます。

 そこで今回は、最低賃金引き上げのタイミングだからこそ活用したい2つの助成金を中心とした、戦略的な制度見直しのポイントを解説します。

最低賃金引き上げが組織に与える影響

  最低賃金を下回っている従業員の時給を単に引き上げるだけでは不十分だという点に注意が必要です。

 一部の従業員のみ給与を引き上げることで、社内の賃金バランスが崩れ、既存社員のモチベーション低下を招くリスクがあります。

 パート・アルバイト等の非正規雇用労働者の待遇改善は採用力に直結しますが、会社全体の賃金体系を俯瞰し、整合性の取れた見直しを行うことが不可欠です。

「キャリアアップ助成金」の活用

 賃金引き上げの負担を軽減し、前向きな制度改定を後押しする一つ目の制度が「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」です。有期雇用労働者等の基本給に関する賃金規定等を改定し、一定割合以上増額させることで助成対象となります。

 最低賃金への対応に合わせてこの助成金を活用することは効果的ですが、実務上、申請にあたっては「就業規則や既存の賃金体系との整合性」が極めて重要になります。助成金の受給要件を満たすためだけの場当たり的な規定変更は、後々の労使トラブルや正社員の給与テーブルとの矛盾を引き起こしかねません。会社の実態に即した制度改定をご検討ください。

「業務改善助成金」の活用

 もう一つ、強力な武器となるのが「業務改善助成金」です。事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げると同時に、生産性向上に資する設備投資等を行った場合、その費用の一部が助成される制度です。
 例えば、在庫管理システムのクラウド化、業務効率化のための特殊機材の導入などが対象となります。単に給与を引き上げるだけでなく、デジタル化や省力化によって「少ない時間で高い付加価値を生み出す」体制を構築できれば、賃金引き上げの原資を継続的に確保できるようになります。

おわりに

 「キャリアアップ助成金」がルールや処遇の見直しを支援するのに対し、「業務改善助成金」は現場の生産性向上を直接的に支援します。これらを自社の経営課題に合わせて戦略的に活用することで、今年以降の最低賃金改定は、より強固な組織を創り上げる絶好の機会へと変わります。

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