【法務編】
民事訴訟手続のデジタル化(IT化)
公開日:2026.08.25
Q. 民事訴訟手続のデジタル化(IT化)が進んでいると聞きましたが、どのように運用されているのでしょうか。
A. 民事訴訟事件の訴状等の書類をオンラインで提出したり、WEB会議で期日に参加することが可能になるなど、民事訴訟手続のデジタル化(IT化)が進んでいます。
INDEX
改正民事訴訟法等の施行
2026年5月21日から、民事訴訟手続のデジタル化のための、改正民事訴訟法・民事訴訟規則が施行され始めました。主な改正点としては、①訴状や証拠等のオンライン提出、②WEB会議で期日に参加、③訴訟記録の電子化・オンライン閲覧、が可能になった点です。なお、②ウエブ会議で期日に参加については、2024年3月1日から先行して施行されています。
主な改正点
(1)訴状や証拠等のオンライン提出
これまでは、訴状、準備書面、証拠等の書類を提出する際に、裁判所に持参したり、郵送したりする必要がありましたが、改正後はこれらの書類をオンラインで提出できるようになりました。また、これらの書類や裁判所から送られる判決書等の書類を、オンラインで受け取ることもできるようになりました。
訴状等の書類をオンラインで提出するためには、専用システム「mints(ミンツ)」に利用者登録をする必要があります。利用者登録には、インターネットに接続できる機器や環境が必要であり、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日等を登録することになります。利用者登録をすることで付与されるIDは、その後に当事者となる全ての民事訴訟手続で利用することができます。
なお、改正後も、一般市民は、訴状等の書類を、これまでと同様に紙の書面で提出することもできます(※弁護士等の資格者はオンライン提出が義務付けられたため、改正後は紙の書面で提出することができなくなりました)。
(2)WEB会議で期日に参加
これまでは、民事訴訟の口頭弁論等の期日には、裁判所に出向いて参加する必要がありました(※弁論準備手続等の一部の手続には、電話会議で参加することはできました)。改正後は、裁判所の判断により、これらの期日にWEB会議で参加することができるようになりました。
WEB会議で期日に参加するためには、インターネットに接続できる機器や環境の準備に加え、カメラ、マイク、スピーカーの準備が必要となります。カメラ等は、パソコン等のインターネットに接続できる機器に内蔵されているものか、外付けのもの、どちらでも構いません。
WEB会議には、Microsoft社の「Teams(チームズ)」というコミュニケーションツールを利用します。裁判所から事前に送信される招待メールか、会議ID・パスコードにより、口頭弁論等の期日にWEB会議で参加することができます。
(3)訴訟記録の電子化・オンライン閲覧
これまでは、民事訴訟事件の訴訟記録を閲覧する場合には、裁判所に出向く必要がありました。改正後は、提出された書面等は電子データで保管され、判決書や調書等も電子データで管理されるため、当事者等であれば訴訟記録をオンラインで閲覧できるようになりました。
民事訴訟事件の当事者が上記(1)の専用システム「mints」の利用者登録を行うことにより、事件の係属中は、オンラインでいつでも訴訟記録を閲覧することができます。
また、専用システムの利用者登録を行わない場合は、事件が係属する裁判所に対して訴訟記録の閲覧申請を行う必要があります。申請後、訴訟記録を閲覧するためには、裁判所に出向く必要がありますが、事件が係属する裁判所の他、最寄りの裁判所で閲覧することもできます(例.東京の裁判所に係属する民事訴訟事件の訴訟記録を、松山の裁判所で閲覧する)。
まとめ
以上のとおり、令和8年5月から民事訴訟手続のデジタル化のための法改正が施行されており、一般市民も民事訴訟手続を利用しやすくなりました。今回の法改正では、オンライン申立ての対象は民事訴訟手続だけですが、2028年6月までには、民事執行、倒産、労働審判等の非訟手続や、人事訴訟手続(離婚訴訟等)、家事事件手続(離婚調停、遺産分割調停・審判等)についても、オンライン申立ての対象になる予定であり、民事訴訟以外の手続についてもより利用しやすくなります。
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