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愛媛の海事クラスターの生産額はおよそ5,000億円 ~2020年産業連関表でみる愛媛の海事クラスター~

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愛媛の海事クラスターの生産額はおよそ5,000億円
~2020年産業連関表でみる愛媛の海事クラスター~

公開日:2026.08.03

新藤 博之

はじめに

 IRCは公益財団法人日本海事センターとともに、調査レポート2021年5月号で、愛媛の海事クラスター(海事産業群)の経済規模と造船業の経済波及効果を推計した。今般、令和2年(2020年)愛媛県産業連関表が公表されたことから、これをもとに新たに分析した。

事業所数と従事者数の推移

 愛媛の主要な海事産業(造船業、一部の舶用工業を含む、海運業、港湾・その他サービス)の事業所数は、800前後で推移している(図表-1)。2024年の産業別の内訳は、造船業・舶用工業が333事業所で2021年と比較して25事業所減・7.0%減、海運業が279事業所(同32事業所減・10.3%減)、港湾・その他サービスが141事業所(同6事業所減・4.1%減)だった。減少要因としては、造船業は下請け・協力業者の陸上へのシフト、海運業は、内航船主の廃業などが考えられる。

図表1

 従事者数は、13,000人台で推移している。2024年の産業別の内訳をみると、造船・舶用工業が半数強の7,293人(同175人増・2.5%増)、海運業は4,314人(同516人減・10.7%減)、港湾・その他サービスが1,920人(同32人増・1.7%増)だった(図表-2)。海運業の従事者数が減少している背景には、内航船主の廃業や船員の高齢化による引退が進んでいることなどが考えられる。

図表2

海事クラスターの経済規模

 2020年の愛媛県産業連関表(108部門)において、造船業及び海運業と取引のない部門は2部門しかない。県内のほぼすべての産業が造船業または海運業と取引関係を有していることからも、海事産業の裾野の広さが確認された。
 愛媛県産業連関表によると、2020年の愛媛の海事クラスターの生産額(売上高)は、4,978.6億円となり、県内全体の生産額10.1兆円の4.9%を占めている。2015年と比較すると1,708.5億円減少、全体に占めるシェアは1.7ポイント低下した。このうち、造船業が約5割の2,503.8億円で中心的な存在となっている(図表-3)。

図表3

 2020年の愛媛における海事クラスターの粗付加価値額は、1,669.2億円となり、県内全体の粗付加価値額5.2兆円の3.2%を占めている。2015年と比較して659.0億円減少、全体に占めるシェアは1.5ポイント低下している(図表-4)。

図表4

 2015年以降の造船業界の動向を振り返ると、新造船発注が低迷し、船価も低水準で推移した。特に2020年は新型コロナによる新造船需要の激減や中韓との船価競争の激化により、造船業界は厳しい状況に置かれた。一方、県内では今治地区を中心にドックや工場などの物理的な拡大が難しく、大手造船会社は近隣県の拠点を強化して大型船を建造している。
 こうしたことから、造船会社全体の売上は拡大していても、愛媛の産業連関表上の生産額や付加価値は減少しているという構造が生じている。

計算手順

愛媛の造船業の経済効果は3,032億円

  造船業について、県内経済への波及効果を算出したところ、3,031.6億円で2015年と比較して1,663.2億円減・35.4%減少した(図表-5)。
 前述したように県内造船業の活動が縮小した場合には、その影響もまた関連産業に波及し、県内経済全体の下押し要因となり得る。

図表5

おわりに

 国が造船業の再生や海事産業の強化に向けた政策を進めることは愛媛の海事産業において追い風である。これを最大限に活かして、地域全体として海事クラスターが成長・発展することを期待したい。
 本調査は、公益財団法人日本海事センターの野村摂雄上席研究員と後藤洋政研究員の協力を得て取りまとめました。

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