夏のボーナスはすべての業種で前年を上回り3.1%増~2026年夏季県内民間企業ボーナス支給見込みアンケート結果~
公開日:2026.06.04
INDEX
要旨
1.この夏の県内民間企業の正社員1人当たりボーナス支給見込み額(以下、ボーナス支給見込み額)は、前年を3.1%上回る42.5万円となり、8年連続で前年を上回った。
2.部門別のボーナス支給見込み額の増減率は、製造業が前年比3.7%増、非製造業が同2.9%増となった。業種別ではすべての業種で前年を上回った。
3.ボーナス支給見込み額が前年から「増加」する企業の割合は60.7%、「横ばい」は29.2%、「減少」は10.1%となった。
4.増加要因では、従業員規模の大きい製造業で業績好調を背景とした増額が目立ったものの、全体では、引き続き人材確保や物価上昇といった防衛的引き上げがみられた。
5.前年調査と比べると収益状況が「悪くなった」および「変わらない」企業において増加割合が高まっており、業績に関わらずボーナスを増やす状況が一部でみられた。
はじめに
2026年1〜3月期の実質GDP(速報値)は前期比+0.5%と2四半期連続のプラス成長となった。日本経済は、物価上昇の影響を受けつつも、全体としては緩やかに回復している。
県内経済は、一部で弱い動きがみられるものの、全体としては緩やかに持ち直している。ただし、中東情勢による経済見通しの不確実性が高まっており、先行きには不透明感が残る。
こうしたなかIRCでは、この夏の県内民間企業のボーナス支給動向を把握するため、アンケートを実施した。以下、その結果を報告する。
県内民間企業のボーナス支給見込み額
~前年比3.1%増、8年連続で前年を上回る~
アンケート結果および経済センサスに基づいて推計した2026年夏の県内民間企業のボーナス支給見込み額(正社員1人当たり、税込み、以下同様)は42.5万円となり、前年の支給実績と比べて3.1%増加し、8年連続で前年を上回った(図表-1)。部門別にみると、製造業は前年比3.7%増の53.1万円、非製造業では2.9%増の40.3万円となった。
ボーナス支給見込みの有無
~95.3%が支給する見込み~
ボーナス支給の有無について尋ねたところ、全体では95.3%の企業が「支給する」と回答した。「支給しない」は4.7%だった(図表-2)。
増加・横ばい・減少の割合
~「増加」する見込みの企業は60.7%~
ボーナス支給見込み額が前年から「増加」する企業の割合は60.7%(前年比8.0ポイント上昇)、「横ばい」の企業は29.2%(同2.2ポイント低下)、「減少」する企業は10.1%(同5.8ポイント低下)であった(図表-3)。
前年と比べた増加・減少の要因
~増加要因は「社員のモチベーションアップ」、減少要因は「業績不調」が最多~
ボーナス支給見込み額について、前年と比べた増加要因は、「社員のモチベーションアップ」(47.5%)が最も多く、次いで、「物価上昇・インフレへの対応」(44.2%)、「定例給与引き上げに伴うもの」(38.7%)となった(図表-4)。上位3項目は前回調査と比べて順位に変動はないが、「物価上昇・インフレへの対応」は2024年夏調査時からは8.0ポイントの上昇となった。
一方、前年と比べた減少要因は、「業績不調」(40.0%)が最も多く、次いで、「資源高・原材料高による収益減」(33.3%)、「従業員の年齢構成の変化(若返り)」(26.7%)となった(図表-5)。過去調査と比較すると、「資源高・原材料高による収益減」や「景気動向」が増加傾向にある。
部門別の増減
~製造業では100人以上、非製造業では30~99人で増加~
部門別の増減割合をみると、「増加」は非製造業(64.3%)が製造業(53.9%)を上回った。製造業の中では従業員規模が大きくなるほど「増加」の割合が高まり、100人以上では62.2%となった。一方で、非製造業では30~99人で73.0%と全体を8.7ポイント上回った(図表-6)。
~増加要因は製造業で規模別に特徴あり~
増加要因を部門別にみると、製造業では「物価上昇・インフレへの対応」(45.5%)、非製造業では「社員のモチベーションアップ」(49.2%)が最多となった。従業員規模別でみると、製造業では30人未満で「社員のつなぎとめ、流出防止」(37.5%)、100人以上で「業績好調」(43.5%)が突出して高く、規模別に特徴がみられた(図表-7)。一方、非製造業では、100人以上で「定例給与引き上げに伴うもの」(54.5%)が全体を大きく上回った。
業種別の増減
~すべての業種で前年を上回る~
製造業では、「紙・パルプ」(前年比11.0%増)、「機械・金属」(同7.9%増)、「繊維」(同3.3%増)、「食料品」(同3.2%増)などすべての業種で前年を上回った。
一方、非製造業でも、「小売」(同3.8%増)、「建設」(同3.3%増)、サービス(同2.9%増)などすべての業種で前年を上回った(図表-8)。
足元の収益状況別
~収益状況が「変わらない」「悪くなった」企業においても4~6割は「増加」~
半年前と比較して足元の収益状況が「良くなった」が20.4%、「変わらない」が55.2%、「悪くなった」が24.5%となった(図表-9)。
足元の収益状況が「良くなった」企業のうちボーナス支給見込み額を「増加」する割合は70.5%、「変わらない」「悪くなった」企業においても4~6割となった(図表-10)。前年調査と比較すると、収益状況が「悪くなった」企業においては、「増加」が10.2ポイント上昇の45.2%となり「減少」(17.8%)を上回った。また、「変わらない」企業においても「増加」割合が高まっている。
~「悪くなった」企業は防衛的引き上げの傾向~
増加要因を足元の収益状況別にみると、「良くなった」企業では「業績好調」(37.2%)を背景とした引き上げが目立った一方で、「悪くなった」企業においては、「物価上昇・インフレへの対応」(60.6%)や「社員のつなぎとめ、流出防止」(36.4%)といった防衛的な引き上げの傾向がみられた(図表-11)。
半年後の収益状況(見通し)
~「悪くなりそう」は製造業で4割超~
現在と比較した半年後の収益状況は、全体では、「変わらない」が54.2%と最多となった(図表-12)。部門別でも同様の傾向がみられたが、製造業では、「悪くなりそう」が43.8%と非製造業(29.5%)を大きく上回った。中東情勢の影響で先行きの不確実性が高まっており、長期化した場合、原材料価格の高騰や、調達難による収益環境の悪化を懸念する声が聞かれた。
まとめ
この夏の県内民間企業のボーナス支給見込み額は前年比3.1%増加して8年連続で前年を上回る見込みである。部門別では、製造業が3.7%増、非製造業が2.9%増と高い伸びとなった。
増加要因では、従業員規模の大きい製造業で業績好調を背景とした増額が目立ったものの、全体では、引き続き人材確保や物価上昇といった防衛的引き上げがみられた。また、前年調査と比べると収益状況が「悪くなった」および「変わらない」企業において増加割合が高まっており、業績に関わらずボーナスを増やす状況が一部でみられた。
今後、中東情勢の影響が長期化した場合、ボーナス支給の下押しが懸念されるが、物価上昇に見合った賃上げが継続し、個人消費の回復につながることを期待したい。
≪参考≫
県内民間企業の支給見込み総額
~約1,518億円、前年比3.5%増~
アンケートおよび毎月勤労統計調査等にもとづき推計した県内民間企業のボーナス支給見込み総額は前年比3.5%増の約1,518億円となった。支給対象人員が前年比0.4%増となったことに加え、1人当たり支給額が前年比3.1%増となったことで、総額は増加した。
なお、経済指標や企業業績をもとにした全国の1人当たりボーナス支給予想額は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは前年比2.3%増の43.6万円、日本総研は同2.2%増の43.7万円となっている。
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