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各種調査レポート

ラジオと歩く、私の時間

視点

ラジオと歩く、私の時間

公開日:2026.06.10

総務省四国総合通信局 局長 竹下 文人

 昨年、ラジオ放送は百周年の節目を迎えました。その翌年にあたる今年、NHKではAM第2放送が廃止され、二波体制となりました。民放でもFMへの移行が進み、ラジオの聴き方も、従来のオンエアからインターネット利用へと変わりつつあります。長くラジオに親しんできた身としては、ひとつの節目に立っているようにも感じています。

 若い頃、私は深夜ラジオをよく聴いていました。勉強の合間や眠れない夜に流れてくる声は、不思議と身近で、遠い世界とつながっているような気分にさせてくれました。やがて就職し、情報を得る手段がラジオからテレビへと移っていきました。その途中、仕事と子育てに追われる時期に入ると、テレビをゆっくり見る余裕も失われました。懐かしいドラマの特集番組を見ても、当時の記憶がほとんど残っていないことに気づき、自分でも驚いています。

 最近になって子育ても終わり、再び単身赴任になったことで、一人の時間が増えてきました。仕事柄、携帯電話を普段から手元に置くことが多い中で、最近は電池の持ちも良くなり、携帯電話を利用してラジオを聴くようになりました。そうして自然と、散歩のお供にラジオを聴くようになりました。思い返せば、その習慣は、コロナ禍で人と自由に会うことが難しかった時期と重なっていたように思います。

 当時住んでいた地域は、高い山や丘に囲まれ、川岸を歩けばせせらぎが耳に届く環境でした。目に入るのは四季折々の景色、耳には軽快なトーク。そうした中で自然と足取りも軽くなり、次第にラジオの世界に引き込まれていったのだと思います。

 今ではランチめぐりも加わり、週末はラジオを聴きながら街を歩くのが楽しみになりました。昨年愛媛・松山に赴任してからは、起伏の少ない街並みが歩きやすく、訪ねた店は百軒を超えています。ときには郊外電車に乗り、そこから足を延ばすこともあります。

 番組に夢中になりすぎないよう、街の音を感じながら周囲や足元に気を配って歩いていますが、歩くことで道を覚え、車に乗ったときにも迷わなくなりました。松山だけでなく、出張先で迎える四国の朝の街並みにも、歩いてこそ感じられる良さがあります。携帯電話もラジオも時代によって形を変えながら、平和な日常のなかで、いまも静かに私の生活に寄り添っています。

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