【労務編】
働き方改革関連法案施行後5年の総点検
公開日:2026.05.22
Q. 厚生労働省が公表した、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下「働き方改革関連法」という。)施行後5年の総点検に基づき、企業の考え方について考察します。
A. 労働者の労働時間は現状のままが良いと回答した企業が61%を占めていました。
企業のホンネとしては、「これ以上労働時間を短くできない」という感じではないでしょうか。
今後、国の検討会で議論されるテーマについてもしっかりと注視していきたいものです。
INDEX
2019年4月施行の働き方改革法案
施行時から程なくしてコロナ禍に見舞われるという尋常でなかった数年間を経た働き方改革法案ですが、ここにきて冷静に当該法案を見直しする必要性を国は感じているようです。
5年目の総点検とは
以下の「3つの柱」の定着度と副作用をチェックしています
①残業時間の上限規制:青天井だった残業に罰則付きルールを適用
②有休休暇の取得義務化:年5日の確実な取得
③同一労働同一賃金:正社員と非正規雇用の不合理な待遇格差の解消
以上の3つの柱をポイントとして327社に対し、労働時間に対する希望やその理由などのヒアリングを行っています。対象企業の44.6%が「建設業」「運輸業」でした。
成果としてみえてきたもの
現状の労働者の労働時間に関する企業としての希望について、「現状のままが良い」は201社。「減らしたい」が73社、「増やしたい」が53社でした。
現状のままが良い理由として、業務量との関係(178社)、労働者の健康確保・ワークライフバランス(22社)、人材確保・定着(20社)等が挙げられています。
減らしたい理由として、人材確保・定着(22社)、労働者の健康確保・ワークライフバランス(18社)、人件費抑制(9社)等が挙げられています。
増やしたい理由として、業務の性質(29社)、受注の確保(9社)、人手不足(7社)等が挙げられています。
私どもの肌感覚としては、平均的な残業時間は確実に減少しており、1日の残業が3時間を超えている状態だとかなり目立つ感じです。また有給休暇取得率も確実に男女問わず向上しており、「有給を取るのは当たり前」という意識が浸透してきています。企業のホンネとしては「これ以上労働時間を短くできない」という感じではないでしょうか。
副作用や残された課題
最も深刻な問題は、最低賃金の上昇に伴う賃上げ原資の確保と労働時間削減の両立が困難であり、中小企業と大企業の格差が広がっているところです。国は「単なる時間削減」から「自律的働き方」へのシフトを目指しているようですが・・。
今後の注目ポイント
今回の調査を受けて、国の検討会では以下のようなテーマが具体的に議論される見通しです
①勤務間インターバル制度
②副業・兼業のさらなる推進
③裁量労働時間制度の対象拡大
まだまだ目が離せない労働法改革です。しっかり注視していきたいものです。
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