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各種調査レポート

【税務編】 企業グループ間の取引に係る書類保存の特例制度

経営・実務Q&A

【税務編】
企業グループ間の取引に係る書類保存の特例制度

公開日:2026.04.23

酒井啓司税理士事務所 税理士 酒井 啓司

Q.  令和8年度税制改正で、企業グループ間で行った取引は帳簿を作成し、保存する必要があるそうですが、どのような内容なのでしょうか。

A.  令和8年4月1日以降、企業グループ間で行う「特定の取引」については、対価を算定するための計算根拠となる書類の保存が求められることになりました。

制度の概要

 従来、企業グループ間で一定の役務提供等の取引が行われた場合、税務調査などの場で、その金額や取引条件が恣意的なものでないことの根拠を求められることがありました。この考え方は従来と変更ありませんが、その根拠を文書等で保存することが求められることになりました。

対象となる企業グループとは

 対象となる企業グループとは、「内国法人との間に、持株関係や実質的支配関係、それらが連鎖する関係の特殊の関係のあるもの」とされており、一般的な子会社や兄弟会社、それに近い実質的な支配関係(役員の兼務、取引の依存度など)があると認められる企業グループが該当すると考えられます。


対象となる取引

 企業グループで共通の業務のために支払った取引(「シェアードコスト取引」といいます)について、特定の法人に集約し、その業務を各グループ企業が負担するというケースがあります。この他にも、特定の会社が持っている工業所有権や著作権、ノウハウなどを利用する場合、研究開発や広告宣伝を共同で行うケース、特定の会社からの経営指導などのマネジメントフィーなどが想定されます。

 今回の改正は、そのような取引を規制するのではなく、取引金額が客観的で計算根拠が明確であることを文書で保存するよう求めるものです。


保存が必要な書類

 今回の改正で保存が求められるのは、「対価の額を算定するために必要な事項」が記載された書類です。すでに根拠となる計算式が書類等に記載されている場合は改めて作成する必要はありませんが、そのような書類がない場合は、新たに作成し、税務調査などの場合に提示することが求められます。企業グループ間では、上記のような取引が口頭のみのやり取りで行われ、契約書や請求書がない場合もあります。このような場合、詳細な書類を揃えておく必要があります。


保存がなかった場合

 税務調査の際に書類が提示されなかった場合は、必要な書類の保存がないという理由で青色申告の承認取り消しとなる可能性があります。また、そこまで至らない場合でも、企業グループ間の取引について、従来よりも深く追求される可能性があります。


実務的な対応

 具体的な保存資料として考えられるのは、全体のコストを売上高や人数割りなどで按分する方法や社内で検討した資料などです。

 社内で作成する書類の内容については、今後公表される政省令、通達のほか、税務関連の情報を確認し、税理士とも相談して作成していって下さい。仮に説明が難しい取引があった場合は、この機会にその取引の内容自体を見直していく必要があると思われます。

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