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我が国造船業の再生に向けて

視点

我が国造船業の再生に向けて

公開日:2026.05.01

一般社団法人日本造船工業会 会長 檜垣 幸人

  戦後半世紀にわたり、世界のトップを走り続けてきた日本の造船業は現在瀬戸際に立たされています。造船大国日本として、かつては世界の半分以上の船を日本で建造していましたが、2000年代に入ると韓国・中国の造船業が政府支援や大型建造設備、低船価等を活かした事業戦略で国際市場を席巻し、現在では日本の建造量の世界シェアは約13%となっています。

 四面を海に囲まれた日本は、貿易量の99.5%を海上輸送に依存しており、日本の物資を運ぶ船を日本で建造できなくなれば、経済安全保障の観点から問題となります。その意味で海運、造船を含む海事産業群の存立は日本にとり不可欠と言えます。ここ瀬戸内地域には、造船業をはじめ、海運業、舶用工業等の多数の企業が集積し、海事都市を形成しています。なかでも造船業は総合組立産業として裾野が広く、多くの雇用を生み、地域経済の発展に必要不可欠な産業です。

 このような環境下、2025年は造船業にとり大きな転換となる1年となりました。米国トランプ大統領の経済安全保障の観点から自国造船業の復活強調を皮切りに、日本政府でも造船業の重要性が強く認識されました。昨年10月発足の高市内閣では、「総合経済対策」において、造船業再生の取組みが推進され、危機管理投資17分野の中で、「造船」は半導体・AIに次ぐ上位に位置付けられました。2035年までに年間建造能力を1,800万総トンとする目標が示され、生産性の抜本的向上に向けて、10年間で総額3,500億円規模の造船業再生基金が創設されました。官民合わせて約1兆円規模の投資が打ち出されたことは造船業が日本の基幹産業として再浮上する最大のチャンスであり、この機を逸するわけにはいきません。加えて、政府が推進する地域未来戦略において「戦略産業クラスター」形成構想があり、四国・中国地域では「瀬戸内造船クラスター」の検討も始まっています。

 造船業界は大規模設備投資を進め生産性向上を図るべく、鋭意努力を進めて参りますが、建造能力の増強は造船業界だけでは実現できません。鋼材や舶用製品等の安定供給に加え、船舶の継続的な発注が不可欠です。日本造船工業会としては、関連業界とも連携し政府への支援を求めていきたいと考えております。

 また、IMO(国際海事機関)では、2050年国際海運からのCO2排出量ゼロの目標が定められ、アンモニア、水素等の新燃料船の開発が世界中で進んでおります。日本が得意とする環境技術開発を活かし、先行者利益とシェアを獲得していくためにも関係業界間の垂直水平連携を強化し、我が国経済の発展に貢献して参ります。この場をお借りして関係者の皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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