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愛媛における韓国人ゴルファーの動向

調査レポート

愛媛における韓国人ゴルファーの動向

公開日:2026.04.10

續木 美和子

要旨

1.愛媛の2024年外国人延べ宿泊者数は23年から約2.2倍の45万2千人泊と、伸び率は全国トップ。2025年(速報値)はさらに伸びて前年比約1.3倍の58万人泊となり、インバウンドの増加の勢いは続いている。国別の内訳をみると、2019年と比較して韓国の伸びが顕著で、5.9倍の20万4千人泊となった。2019年当初はソウル線のみの週3便であったが、23年以降、釜山線の新規就航やソウル線の増便により、現在はソウル線が週14便、釜山線が週7便の計21便と過去最高。

2.松山空港韓国線の乗降客数およびインバウンドゴルファーの延べ利用者数から韓国人インバウンドに占めるゴルファーの割合は約6%と推計した。韓国人ゴルファーが増えた背景には「韓国でのゴルフ人気」「県のプロモーション」「アクセスの良さ」「愛媛の気候」などが挙げられる。

 3.県内ゴルフ場によると、韓国人ゴルファーは「3泊4日」「3日間ゴルフ」が主流で、当初は旅行会社のゴルフツアーで予約していたが、最近では個人予約も増えている。ゴルフツアーを催行している旅行会社によると最近の韓国人ゴルファーは松山市中心部のホテルを拠点に複数のゴルフ場を巡るスタイルが人気を集めている。

4.観光庁の消費動向調査やヒアリングをもとに、愛媛を訪れた韓国人ゴルファーは約7,200人、2025年の年間消費額は9.7億円と推計した。

5.今後は韓国人のUGC(User Generated Content:ユーザーが生成したコンテンツ)を意識した観光コンテンツの磨き上げや台湾からの誘客などにより愛媛のゴルフのさらなる魅力アップに期待したい。

 


はじめに

2025年の訪日外国人客数(全国)は、過去最多の約4,270万人となる見通しだ。県内でも、外国人観光客の姿を目にする機会が増えたと感じる方も多いだろう。その中で、2023年以降、多くの韓国人ゴルファーが愛媛を訪れているのをご存じだろうか。今回はアフターコロナのインバウンドの動向を振り返るとともに、愛媛が韓国人ゴルファーに人気の理由を探る。

愛媛のインバウンドの特徴

 ~外国人延べ宿泊者数は韓国人旅行者が急増~

 愛媛の2024年外国人延べ宿泊者数は23年から約2.2倍の45万2千人泊となり、伸び率は全国トップだった(図表-1)。2025年(速報値)は更に伸びて前年比約1.3倍の58万人泊となり、インバウンドの増加の勢いは続いている。国籍(出身地)別の内訳をみると2019年と比較して韓国と台湾が大幅に増加している(図表-2)。特に韓国の伸びは顕著で5.9倍の20万4千人泊となった。2019年の外国人延べ宿泊者数はトップが台湾(29%)、次いで韓国(17%)であったが、2024年に逆転し、2025年は韓国43%、台湾27%、中国7%となった。

~直行便の拡大に伴う韓国人の増加~

 韓国人が増えた大きな理由として「直行便の増加」が挙げられる。松山空港の韓国線直行便は、2019年当初はソウル線のみの週3便であったが、2023年以降、釜山線の新規就航やソウル線の増便により、現在ではソウル線が週14便、釜山線が週7便の計21便と過去最高となった(図表-3)。四国における韓国線の便数は松山空港が高松空港を抑え最多である。

コラム① 松山空港直行便の高い搭乗率

2025年11月までの直近1年間の松山空港国際線の乗降客数(上海線除く・往復合計)は、韓国(ソウル線・釜山線)は31万4千人、台湾は5万4千人となった。

2025年の各路線の搭乗率は、7月に地震の予言が広がり、ソウル線・台北線で一時的に落ち込んだものの、直近はいずれも9割前後と高水準となっている(図表-4)。

~インバウンドゴルファーの大半が韓国人~

 愛媛県観光国際課の担当者に最近のインバウンド動向をヒアリングすると「韓国人ゴルファーの増加」を挙げる。

 愛媛県ゴルフ協会によると、協会加盟の19ゴルフ場における延べ利用者は、1995年の89万人をピークに2018年まで減少が続き63万人まで落ち込んだ(図表-5)。コロナ禍を経て増加に転じたものの、人口減少を背景に国内ゴルファーの緩やかな減少は避けられない状況にある。

 一方、2025年のインバウンドゴルファーの延べ利用者数は約2万4千人で、そのうち9割超は韓国人とのことだ。利用者数全体に占める割合は約3%と高くないが、国内ゴルファーの減少を踏まえると、貢献度合いは少なくない(図表-6)。

コラム② 韓国人ゴルファーの比率は全体の約6%

 松山空港の韓国線乗降客数31万4千人(直近1年間)のうち8割が韓国人インバウンドとすると、韓国人の年間インバウンド総数は約12万6千人(31万4千人×0.8÷2)。

 インバウンドゴルファーの年間延べ利用者数2万4千人のうち9割が韓国人ゴルファーで、全てが3日間ゴルフをしたと仮定(詳しくは後述の「6.韓国人ゴルファーの年間消費額」参照)すると韓国人ゴルファーは7,200人(24,000人×0.9÷3)。

 以上の仮定をもとにすると、直近1年間の韓国人インバウンド数に占めるゴルファーの割合は約6%(7,200人÷126,000人)と推計できる。

 

韓国人ゴルファー増加の要因

 では、なぜ韓国人ゴルファーは愛媛を訪れているのだろうか。まずは、韓国のゴルフ事情などを整理した。

 ~韓国のゴルフ人気~

 韓国ゴルフブームの火付け役は、1998年に全米女子オープンで優勝した朴(パク)セリと言われている。子どもの習い事の一つとしても人気があり、若年層や女性のプレイヤーも多いのが特徴である。また、新型コロナ発生後、密を回避するスポーツとしてさらに需要が高まり、爆発的な人気へとつながった。韓国の人口は日本の半分以下であるが、ゴルフ人口は約570万人と日本を上回っている(図表-7)。一方で、ゴルフ場は、日本の1/4の500程しかなく、需給ひっ迫によりプレー代金が高騰。日本が10,000円~15,000円に対して、韓国では2~3倍の25,000円~45,000円と大きな差がみられる。

~県によるゴルフプロモーション~

 韓国でのゴルフ人気を背景に、2023年、県はゴルフを観光のメインコンテンツの一つに捉え、韓国の旅行会社を招いたゴルフ場視察ツアーや韓国語でのパンフレット作成など積極的なプロモーションを実施した。ゴルフツアーを主体とするチャーター便(釜山線・不定期)の就航を実現させると、好調な搭乗率を背景に、定期便の新規就航に至ったほか、ソウル線の増便にもつながった。またSNSの影響力が大きい韓国の特徴を活かして、インフルエンサーによるゴルフプロモーションにも力を入れている。

 その結果、コロナ前は福岡や熊本を中心とする九州のゴルフ場利用が大半であったが、直行便の拡充により、愛媛にも韓国人ゴルファーが多く訪れるようになった。

松山-釜山線就航記念式典の様子(2023年11月) (写真提供:愛媛県観光国際課)

~ゴルフ場へのアクセス~

 松山空港発着の直行便を利用すると、ソウルは約90分、釜山は約60分と近い。また、松山空港は中心市街地への距離が近く、愛媛には松山市内中心部から1時間程度で行けるゴルフ場が16ヵ所ある(図表-8)。

~愛媛の気候~

 韓国の厳冬期(12月〜2月頃)は雪や凍結によりゴルフ場がクローズすることが多いが、愛媛は比較的温暖で冬場でもプレーができることも魅力の一つだろう。

ゴルフ場からみた韓国人のゴルファー

韓国人ゴルファーに関する県内ゴルフ場の声をまとめた。

 ~プロモーション効果~

 県内ゴルフ場によると、韓国人ゴルファーが増えた背景には、直行便の増便や県と愛媛県ゴルフ協会が連携したプロモーションの効果が大きいとのこと。また韓国人は日本人ゴルファーの少ない平日利用が多いことや韓国のゴルフ場が厳冬期にクローズするため冬場の利用ニーズが高いことも利用者増加につながっている。県内ゴルフ場からは県や愛媛県ゴルフ協会への感謝の声が聞かれた。

~マナーや言語対応~

 受入れ当初は生活習慣の違いから、使用後のタオルやトイレットペーパーの放置など、韓国人ゴルファーのマナーが問題視されていた。そこで韓国語表記でマナーに関するポスター等を増やしたことや旅行会社を経由してマナー向上をお願いしたところ、最近は大きなトラブルは発生していない。言語面では翻訳アプリ利用のほか、韓国語のマナーポスターの掲示やメニューの作成をしており、個人予約客への対応も比較的スムーズにできているそうだ。


左:韓国語のマナーポスター 右:韓国語のメニュー表 (写真提供:松山シーサイドカントリークラブ)

~最近の韓国人ゴルファーの動向~

 あるゴルフ場では、インバウンドゴルファーの95%が韓国人で男女比は6:4で女性グループや夫婦の利用も多いとのこと。受入当初はツアーが中心であったが、最近では個人予約も増えており、レンタカーやタクシーで来場するケースもあるという。最近は台湾からの予約も増えているというゴルフ場の声もあった。

~今後の見通し~

2026年も韓国を中心としたインバウンド客の利用を見込んでいる。人口減少で国内ゴルファーの減少が予想されているなか、インバウンドの増加は県内ゴルフ場の経営に大きなプラスになると捉えている。



愛媛県ゴルフ協会 専務理事 八木一成氏に聞く

Q 韓国人ゴルファーの特徴は?

-韓国人は3泊4日で3ラウンドを回る人が多いですね。1日目は市内観光、2~4日目にゴルフという日程です。旅費を含めても韓国で同じ回数ラウンドするより安く済むことからゴルフ目的の旅行が人気です。また、韓国のゴルフ場は多い所で年間利用者が20万人に上るため、芝の状態が好ましいとは言い難いです。対して県内のゴルフ場の利用者は年間2万~5万人で、グリーンのコンディションが非常に良く、高品質のコースを低価格で楽しめることが人気の理由の一つだと思います。リピーターも多く、1回訪れた人が別の人を連れて再訪するケースも増えています。若いグループや女性ゴルファーの利用も多くみられますね。

 Q 今後のインバウンド誘客に向けた取組を教えて下さい

-日本人のゴルファーも高齢化しており、65歳以上がボリュームゾーンです。今後、その減少分を補わないと将来的にゴルフ場の経営が厳しくなると考えています。そのため、インバウンドの誘客は継続的に行う必要がありますが、他県も状況は同じであり、今後は地域間競争が激化していくことが予想されます。韓国だけでなく直行便がある台湾への誘客にも力を入れる予定です。

 

韓国人ゴルファーからみた愛媛のゴルフ

次に実際に愛媛を訪れた韓国人ゴルファーの声をまとめた。

 01 ツアー客

 ~3泊4日・3日間ゴルフが主流~

 ゴルフツアーを予約して釜山から訪れた男性ゴルファーに取材したところ「3泊4日」「3日間ゴルフ」であった(図表-9)。釜山線の場合、到着が午後5時40分のため、到着日はツアーバスで松山市内のホテルに向かい、滞在2日目から4日目までの3日間ゴルフを楽しんでいた。最終日はゴルフを楽しんだ後、ゴルフ場から直接空港に向かっていた。

02 個人予約客

~ゴルフ以外の観光も満喫~

 ゴルフ場を個人予約してソウルから訪れた男性ゴルファー4人組に取材したところ、「3泊4日」「4日間ゴルフ」であった(図表-10)。ソウル線の場合、午前8時35分の到着便があるため、到着後にレンタカーで直接ゴルフ場に向かって、4日間ゴルフを楽しんでいた。また取材日当日は午後2時ごろにプレーを終えた後、その足で大洲、内子に向かった。夜は温泉に入った後で松山市内のホテル近くで食事をする予定であり、ゴルフ以外の時間も満喫しているようだ。

 

レンタカーにゴルフバッグを積み込む韓国人ゴルファー

韓国の旅行会社からみた愛媛のゴルフ

 愛媛で韓国人向けにゴルフツアーを催行している旅行会社に愛媛のゴルフ事情を聞いた。

 ~他地域と比べた愛媛の魅力~

 愛媛の魅力はまず韓国から近いこと。移動時間の短い直行便に加え、宿泊地とゴルフ場も近い。宿泊地とゴルフ場が離れている場合、複数のゴルフ場を回ることができなくなり満足度が下がってしまう。その点愛媛は空港、宿泊地、ゴルフ場のアクセスが良く、このような好条件が揃っている地域は日本でも珍しい。

 また最近の韓国人ゴルフ客は松山市中心部のホテルを拠点に複数のゴルフ場を巡るスタイルが人気を集めている。愛媛は観光地も近く、ゴルフ以外の時間で温泉やグルメを楽しみたいニーズにも対応できる地域といえる。

 ~個人予約が増加傾向~

 以前はツアーでゴルフを予約する韓国人が多かったが、最近は特に若者を中心に個人での予約が増えているようだ。実際、ゴルフ場への取材では、韓国人が楽天経由で予約したケースがきかれた。

 ~韓国人はUGCを重視~

 韓国の旅行会社は日本と違って店舗を持たないことが多く、ネットやテレビを通じてツアーを募集している。韓国人はSNSなどのUGC(User Generated Content:ユーザーが生成したコンテンツ)を重視する傾向にある。

 ~さらなる魅力のアップには~

 愛媛は、中心部に道後温泉や松山城など著名な観光コンテンツが集まっており、ゴルフ以外にも楽しめる点が非常に魅力的だ。旅行会社によると、「その土地のストーリー(歴史)があれば、もっと選ばれると思う。」とのことである。

韓国人ゴルファーの年間消費額

 ~年間消費額は9.7億円と推計~

 愛媛を訪れた韓国人ゴルファーの2025年の消費額を、観光庁の消費動向調査やヒアリングをもとに9.7億円と推計した。

《算出根拠》

 観光庁「インバウンド消費動向調査(2025年暦年調査 速報)」(2026年1月)の訪日韓国人の一人当たり消費額を用いて算出。「娯楽・サービス」の項目は「ゴルフ消費額(ゴルフプレー料金)」に置き換えて算出。それ以外の項目は韓国人ゴルファーへのヒアリングを通じてゴルフ以外の観光や飲食の消費が確認できたため調整していない。

 インバウンドの年間延べ利用者数(24,000人)のうち韓国人ゴルファーが9割、全員が3日間ゴルフをしたと仮定し、7,200人(24,000人×0.9÷3)とした。

 

① 「娯楽・サービス」(ゴルフ)の消費額

 一回あたりのプレー料金を12,500円(図表-7の日本のプレー料金の中央値)と仮定して算出。

② 「娯楽・サービス」以外の消費額

 「娯楽・サービス」以外は観光庁「インバウンド消費動向調査」と同一と仮定して算出。

今後のインバウンド

今後も韓国人ゴルファーの需要増加は見込まれているが、国内の他の地域も誘客に積極的に取り組んでおり、リピーターへの対策やSNSを意識したゴルフ以外の観光コンテンツの充実は今後の大きな課題であろう。韓国人はSNSなどのUGCを重視する傾向にあり、県の担当者は「リピーターに飽きられないためにも、ゴルフと観光をセットにした東予・南予への周遊PRを強化していきたい」と話す。

以前の韓国人ゴルファーはマナーが問題視されていたが最近ではトラブルも少なく、平日利用や冬場利用により県内ゴルフ場の利用者増に大きく貢献している。一方で韓国のゴルフ熱は一時に比べて落ち着きがみられてきており、安定したインバウンド客を確保する観点からは台湾などからの誘客も必要となるだろう。台湾では韓国同様プレー代金が約40,000円と高騰しており、ゴルフツーリズムのニーズがありそうだ。

台湾旅行社7社との商談会(愛媛県主催) (写真提供:愛媛県ゴルフ協会)

おわりに

 県のプロモーションや県内ゴルフ場の取り組みが奏功して韓国線の直行便の増加は韓国人ゴルファーの増加をもたらした。現在のインバウンド比率は高くはないが、国内ゴルファーのボリュームゾーンが65歳以上であることを考えると、インバウンドゴルファーの重要性はさらに増していくと考えられる。

 引き続き韓国のUGCを意識した観光コンテンツの磨き上げや台湾からの誘客などにより、愛媛のゴルフのさらなる魅力アップに期待したい。 


コラム③ 愛媛・釜山・台北 ジュニアゴルフ 交流大会

3月26・27日、愛媛県ゴルフ協会、釜山ゴルフ協会、未来之星協会(台北)主催の「愛媛・釜山・台北 ジュニアゴルフ交流大会」が北条カントリー倶楽部で開催された。

 この大会は、松山空港に直行便がある韓国(釜山)と台湾のジュニア選手を招待し、ゴルフの競技力や国際感覚の向上を目的に開催されたもので、当日は晴天にも恵まれ、ジュニア選手12名(各地域男子2名・女子2名)の元気なプレーで盛り上がった。

 プレー後に開催された懇親会では、中村愛媛県知事が「松山空港の直行便によるつながりでこの大会を開催することができた。」と述べ、選手、関係者間で交流を深めていた。来年以降は各地域の持ち回りで開催され、次の大会は釜山の予定である。

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