世界が混乱しているあいだに日本がしておくべきこと
公開日:2026.03.19
みなさんこんにちは。いよいよ春の足音が聞こえる季節ですね。いかがお過ごしでしょうか。
前回のご挨拶で、私の原稿が出る頃には「もう少し世界の状況がよくなっていますように」と書いたのですが、いま執筆している時点でアメリカはイランに侵攻し、パキスタンはアフガニスタンに宣戦し、ウクライナ戦争も末期状態になってきています。世界はさらに混乱期を迎えているかのようです。
しかし、これまで何度か申し上げてきているように、強権的なリーダーシップは情報社会の中では長くは続きません。今年は世界に大きな変化が起きると予想しますが、それは後世から見ればこの文明がより良い方向に「舵を切った」と記憶される年になるでしょう。誰がどう言おうが、気候変動やネイチャー・ポジティブ、人権やD&I(多様性と包摂)といった普遍的価値とサステナビリティのほうが創り出す価値が大きく、また経済合理性があるからです。そして水面下でその動きは止まっていません。
例えば、1月にスイスで「ダボス会議」(世界経済フォーラム)が今年も開かれ、カーニー首相(カナダ)やトランプ大統領の政治ショーが報じられましたが、実はこの会議が最も重視したのは、「森林との共生」です。われわれが注力すべきは国と国や人と人との対立ではなく、子どもたちや孫たちのことまでを考えて人類全体が自然と共存するにはどうするか、そのことのほうが世界全体にとってもビジネスにとっても重要なのです。ダボス会議を支える人たちはそれが分かっており、また脱炭素を含めた新しい技術やイノベーションが次々と起きつつある。注目すべきはそちらです。
世界が戦争にかまけているあいだに起きている日本発の大きな技術革新の例について一つご紹介しましょう。1月末に日本のある会社が「量子水素エネルギー」モジュールの量産に入るという報道発表を出しました。この技術、科学的にはまだ解明されていないものの、10gの水素で一般家庭1か月分の電力を生むことに成功しています。「低温核融合」が起きているのではないかとして各方面が検証していますが、もしこれが本当だとすると全世界をひっくり返す「ゲームチェンジャー」です。だって、他のあらゆるエネルギー源を使う理由がまったくなくなるのですから。
これに限らず、全固体電池もペロブスカイト太陽電池も次世代AIも急速に次の段階に入りつつあります。これからの10〜20年で私たちは本当に「化石燃料からの脱却」を経験するでしょう。それは「便利になる」ことよりも、「どこかの国にしかない資源に頼らない」ということです。すなわち、人間が血眼で争う原因そのものを消し去ります。
私は、幸いに平和を享受する日本がいましておくべきことは、引き続き人権や多様性というすべての人に当てはまる価値に基づいた社会を維持発展させ、一方で比類なき技術力で人類全体の長期的なビジョンを牽引することではないかと思います。そして、私たち日本にはそれができる。
3歩歩いて2歩下がっても1年歩けば365歩進みます。上を向いて歩き続けましょう。
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