【税務編】
会社と役員間の債権債務
公開日:2026.02.27
Q. 当社では資金繰りの関係で一時的に役員から借り入れする場合があります。どのようなことに注意すれば良いでしょうか。
A. 法人と役員との間は、恣意性が入りやすく税務上も問題になることがありますので、適正性に配慮して処理をされることが望ましいと考えます。
INDEX
役員借入・役員貸付共通の問題
会社と役員間で発生する取引は、利益相反行為となります。役員給与を決定するために株主総会・取締役会の決議が必要なのはそのためです。会社との間の金銭貸し付けや借入については、消費貸借契約書の締結だけでなく、株主総会等の機関決定が必要になります。
また、役員だけでなく、子会社などの関係会社間の取引も同じような問題がありますので、「身内だから適当に」と考えるのではなく、逆に身内だからより厳格に処理をするようにして下さい。
役員借入金の問題
会社の一時的な資金繰りの関係で、役員から資金を借り入れること自体は税法上大きな問題ではありません。ただし、下記のような点にご注意ください。
(1) 資金の裏付け
役員の個人資産を会社に本当に貸し付けたことを裏付けるため、個人口座から法人口座に資金移転するなど、記録を残すことが必要です。仮に現金で貸し付ける場合には、裏付けが曖昧となり問題となる可能性があります。
(2) 金利の計上
役員からの借入金に対する利息は、一般的に無利息であることも認められます。仮に利息を支払う場合の利率は、会社が調達している金利、市中金利などを参考に決める必要があります。それよりも高い金利の場合は、役員給与と認定される可能性があります。また、利息を受け取る役員は、雑所得として確定申告が必要となります。
無利息という点については、国税不服審判所での令和7年3月7日裁決において、同族会社に対する無利息貸付が「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」とされ、役員が受け取るべきであった利息について所得税が課税されています。やや特殊なケースとも言えますが、役員借入金に対する利息は不要と無条件に決めつけない方が良いと思われます。
(3) 相続税の問題
役員から会社に貸し付けた資金は、役員個人から見ると貸付金となり、個人の財産となります。仮にその役員が亡くなった場合、貸付金の額面金額が相続財産となります。赤字などで実質的に貸付金が返済されないような場合でも、減額される可能性はほとんどありません。返済の見込みが立たない場合には、債務免除や資本金へ振り替え法人を清算するなど、相続財産として残さないような対策を生前に実施することが求められます。
役員貸付金の問題
役員に対する貸付金は、法務上も問題となる可能性があり、貸付が必要な理由を明確にしておく必要があります。内容によっては、役員給与と認定される可能性もあります。また、借入と異なり、1.(2)に記載したような一定の利率を取ることが必要です。
役員の個人保証の問題
役員が会社の借入に対して個人保証をした場合、保証料を支払うことがあります。この場合の保証料については、信用保証協会の保証料率などを参考に料率を算定してください。もし実際のものよりも高額と判断されると、役員給与とされる場合があります。
既存契約の見直し
現在、国内では金利が上昇しています。役員との間で取り決める利率についても、この金利変動に注意する必要があります。すでに借入、貸付がある場合は、一定の時期に見直しを検討する必要があると思われます。
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