目立つ空き店舗、
飲食・サービス業の比率が高まる
~大街道・銀天街の現状と今後の方向性①~
公開日:2026.01.15
INDEX
要旨
01 近年の大街道・銀天街は、大型店や映画館、老舗店舗などの閉館・閉店が相次ぎ、コロナ禍は飲食店やアパレルショップも多数閉店した。一方、大型ディスカウントストアや低価格の居酒屋などの進出が目立つ。
02 大街道・銀天街の空き店舗率は2010年代に10%台で推移していたが、20年以降急上昇し、ピーク時は21.8%まで上昇した。足元は20%前後で推移している。空き地やコインパーキングなどもみられるようになった。
03 営業中の店舗数は294店舗と16年調査と比較して47店舗減少(▲13.8%)していた。上位3業種は「飲食」84店舗、「ビューティー・ヘルス」41店舗、「その他」36店舗でこれまで1位だった「ファッション衣料」は4位・33店舗となった。
04 「物販」と飲食・サービスなどの「非物販」の割合をみると、「物販」が40.5%、「非物販」が59.5%となった。「物販」は前回(16年)59.1%から18.6ポイント低下して50%を割り込み、商店街機能の低下が著しい。
はじめに
人口減少が進み、インターネット販売や大型商業施設などの購買行動の分散、新型コロナウイルス感染拡大などの影響もあって、地方の商店街を取り巻く環境は厳しさを増している。県都・松山においても同様で、大街道・銀天街では空き店舗の増加や業態の変化が著しい。
IRCではこれまで1989年、2001年、11、16年と大街道・銀天街の調査を行ってきた。近年、商店の減少や飲食店・サービス業店舗の増加に加え、空き地やコインパーキングなどもみられるようになった。一方、東アジアを中心にインバウンド(外国人旅行者等)来街者の増加といった変化も起きている。コロナ禍を経て変わりゆく大街道・銀天街の変化の動向について、2回にわたってレポートする。
近年の大街道・銀天街の変化
01 大型店や老舗の閉館・閉店が相次ぐ
2016年(前回)の調査では、大街道一番町口のラフォーレ原宿・松山跡地に「アエル松山」がオープンして通行量が増えたり、新店舗の出店が相次いだりしていた。また、「銀天街L字地区」の再開発の機運の高まりも期待されていた。
その後の約10年間の動きをみると、L字地区の中核であった「松山銀天街GET!」が20年9月に閉館したほか、21年には商店街内にあった映画館「シネマサンシャイン大街道」も閉館した(図表-2)。また、老舗の時計店や靴店、書店などの閉店も相次ぎ、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた飲食店や若者向けアパレルショップなども多数休業・閉店した。
一方で、20年には集客力のある総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ松山大街道店」が出店したほか、コロナ禍で需要の増した持ち帰り型の食品店や低価格の居酒屋、会員制のカフェ・自習スペースを備えた施設などの進出も目立つ。詳細はブロック別の現状で後述する。
02 空き店舗率は急上昇
公表資料によると、松山市中央商店街の空き店舗率は、2010年代は10%台で推移し、コロナ前の2019年には10%を切る時期もあり「過去は近隣・同規模の都市にある中心商店街と比較すると健闘していた」(商店街組合役員)との見方もあった。しかしながら、コロナ禍に空き店舗率は急上昇し、ピークの24年1月には、21.8%となった。その後はやや低下したものの、依然として20%前後で推移している(図表-3)。商店街実態調査報告書(全国商店街振興組合連合会)によると、大街道・銀天街が区分される「広域型商店街」※の2024年10月時点の空き店舗率(全国平均)は8.3%であり、大街道・銀天街の空き店舗率が高水準にあることがうかがえる。
※「広域型商店街」百貨店や量販店を含む大型店があり、買回り品(日常的に頻繁には買わないが、時間をかけて選ぶ商品)を中心に扱う商店街
03 低・未利用地の発現
今回の調査では、従来みられなかったアーケードに面した場所にあるコインパーキングや空き地などの低位の土地利用・未利用地が発現した。アーケードの入口や交差点などにもあって目立つ。また、宿泊特化型ホテルや分譲マンション(シネマサンシャイン大街道跡地)の進出なども初めて確認できた。
こうした近年の変化について、商店街関係者は「土地所有者や開発業者のことであり、個々の背景・理由などにコメントすることは難しい」としながらも「アーケード内に日差しや落ち葉、ホコリなどが入り込み、通行人や既存店舗の環境に悪い影響が出ている」(同)といった声も聞かれた。
店舗数・空き店舗の動向
01 営業店舗数は減少
現地調査の結果、直近(25年12月時点)の大街道・銀天街で営業中の店舗数は294店舗と16年調査と比較して47店舗減少(▲13.8%)していた。これまで増減を繰り返しながらも300店以上が営業していたが、300の大台を割り込んだ(図表-4)。商店街別にみると、大街道は8店舗の減少(▲4.5%)であるのに対して、銀天街で39店舗減少(▲23.9%)と顕著である。
02 店舗・施設の構成
25年12月時点の業種別店舗数をみると、上位3業種は「飲食」が84店舗(16年比24店舗増加)、「ビューティー・ヘルス」(理容・美容・エステ・医薬品・化粧品・メガネ・コンタクト)が41店舗(同6店舗減少)、「その他」(事務所・医療(献血)・フリースペース・自習室など)が36店舗(同4店舗増加)となった(図表-5)。「飲食」は全国チェーンのファストフードやラーメン店などのほか、低価格を売りにした居酒屋の出店も目立つ。「ビューティー・ヘルス」のうち、最近増えてきた店舗としては、ネイルサロンやまつ毛サロン、マッサージ関係などが挙げられる。また、「その他」では、自習スペースやフリースペースなどを備えた会員制のカフェが大街道・銀天街ともに複数店舗出店している。
これまで第1位業種だった「ファッション衣料」(婦人服・紳士服・子供服・服地)は4位・33店舗(同34店舗減少)で半分以上減少した。同様に「ファッション雑貨」(靴・履物・かさ・雨具・バッグ・小物・服地・衣料品全般)も12店舗(同19店舗減少)で6割以上減少した。
店舗の業種別構成割合の推移をみても、「ファッション衣料」(9.6%)や「ファッション雑貨」(3.5%)などの低下は顕著である。一方、「飲食」(24.3%)や「その他」(10.4%)などの構成比は上昇している(図表-6)。
次に、各店舗を「物販」と飲食・サービスなどの「非物販」に分類・集計したところ、全体で「物販」の割合が40.5%、「非物販」が59.5%となった。「物販」が前回(16年)の59.1%と比較して18.6ポイント低下して50%を割り込み、商店街機能の低下は著しくなっている(図表-7)。
とくに大街道では7割程度が「非物販」を占め、「もはや商店街ではない。飲み屋街だ」「飲食店に貸すのをためらうオーナーが少なくなった」「エリアによっては、夜のほうが人通りは多い」(いずれも商店街関係者)などの声が聞かれた。
ブロック別の現状
01 大街道2丁目(図表-1の水色ブロック)
一番町通りから三番町通りまでの大街道2丁目は、「非物販」比率が77.0%で4ブロックの中で最高である。もともと間口の広いパチンコ店やカラオケボックスなどの娯楽系店舗が多く立地するブロックではあったが、近年は老舗の時計店やアパレルなどが居酒屋やカフェ、カラオケボックスなどにシフトしたことなどから、「飲食」や「レジャー・カルチャー」関係の店舗が増えた。なお、「アエル松山」は開業後約10年を経て、当初入居していた書店がフィットネスジムや事務所などに入れ替わったほか、結婚式場が閉店するなどの変化がみられる。また、一番町口の「ファーストボウル」は、建物老朽化で2024年に営業を終了した。
02 大街道1丁目(図表-1の緑色ブロック)
三番町通りから千舟町通りまでの大街道1丁目では、前述した映画館跡地に分譲マンションが建設されていることや「ドン・キホーテ」の出店などが特徴的だ。店舗構成は「非物販」が6割を超えるが、2丁目と比べて飲食店よりもエステサロンや美容室、携帯電話ショップなどのサービス系店舗が多い。また、千舟町に近づくほど空き店舗が目立つ。
03 銀天街3丁目(図表-1の黄色ブロック)
千舟町通りから裁判所前通りの銀天街3丁目は、「L字地区」にあたる。「物販」と「非物販」の比率は、おおよそ半々である。再開発計画を見据えて閉店した店舗があるとはいえ、当ブロックが大街道・銀天街全体の空き店舗率の上昇に影響しているとみられる。特に「松山銀天街GET!」があった南側のエリアは、調査時点ではすべて空き店舗となっており、「通路化している」(地区関係者)という声もあった。
04 銀天街4丁目(図表-1の桃色ブロック)
裁判所前通り~市駅前・まつちかタウンに接する銀天街4丁目では、昔から変わらずに営業している衣料品店や化粧品店、雑貨店などが多いことから「物販」比率は64.2%となっている。市駅口では老舗レコード店がファストフードとコワーキングスペースからなる複合ビルに変貌をとげたり、県外資本の大手菓子店が出店したりするなど、活況を呈している。他方、東側を中心にZARAや地元資本の書店・ドラッグストアなどが閉店し、カフェや美容室などの出店や空き店舗の増加、コインパーキングの進出など、商業機能の低下がうかがえる。
通行量の減少も止まらない
2006年を100として、大街道・銀天街の歩行者通行量の推移を見ると、13年までは減少から横ばいで推移した。アエル松山の開業後に回復したものの、コロナ禍で再び大きく減少し、足元は06年比で4割程度下回って推移している。
次回に向けて
「商店街」から「飲食・娯楽街」へと景観・機能が変わり続ける大街道・銀天街。行き交う人々の姿も買い物客から観光客、とりわけ韓国や台湾などの東アジアを中心にしたインバウンドを目にする機会が増えた。大街道・銀天街にもインバウンドがメインターゲットとみられる店舗・施設が出店しており、次回はその動向について、アンケートやヒアリングなどをもとに明らかにする。
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