「税金の壁」引き上げの影響調査 ~「働き控え」は解消へ向かうのか~
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「税金の壁」引き上げの影響調査 ~「働き控え」は解消へ向かうのか~
「税金の壁」引き上げの影響調査 ~「働き控え」は解消へ向かうのか~
株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称IRC、社長 矢野 一成)は、このたび標記の調査結果をとりまとめましたので、その概要をお知らせします。
なお、詳細はIRCホームページ(会員サイト)に掲載します。
【調査概要】
2025年12月から「税金の壁」が160万円まで引き上げられることにより、非正規雇用者(パート・アルバイト)の「働き控え」の解消が期待されている。一方で社会保険の負担が発生する「社会保険の壁」は130万円で変わらないため、どのくらい「働き控え」の解消効果があるか不透明な部分が残る。そこで今回は「税金の壁」の引き上げが県内の非正規雇用者の就業調整意向や県内労働市場に与える影響を調査した。
・アンケート結果では、非正規雇用者(パート・アルバイト)の「年収の壁」の認知度は約半数にとどまり、認知できていない理由は「内容が難しい」が最も多い。
・非正規雇用者(パート・アルバイト)のなかで約3割が就業時間を調整(働き控え)しており、「税金の壁」が引き上げられた場合、そのうちの約6割が就業時間を増やす意向がある。
・就業時間を増やす意向がある人の希望年収を現在の年収別でみると、年収103万円未満では52.6%、年収103万円以上130万円未満では40.9%と「年収130万円まで増やす」割合が最も多い。就業時間を増やしたい意向はあるものの、「社会保険の壁」を意識した年収の調整がみられる。
・アンケート結果をもとに、「税金の壁」が引き上げられた場合の効果を推計したところ、県内全体では約2万6千人が就業時間を増やす可能性があり、一人あたりの年収増加額は約37万5千円(月あたり約3万1千円)、年間の増加就業時間は約292時間(月あたり約24時間)となった。
・本格的な「働き控え」の解消には「社会保険の壁」「配偶者手当の壁」一体での見直しが待たれる。また、企業側にとっては、従業員に「年収の壁」について積極的に情報発信するとともに、就業時間を増やしたい従業員の希望に沿えるように、労務管理やシフト運用の見直しなど受け入れ体制の構築が「働き控え」解消につながるだろう。
【本件に関するお問い合わせ】株式会社いよぎん地域経済研究センター(担当:中井) TEL(080)2990-1166