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各種調査レポート

【シンガポール】 チャイニーズニューイヤーについて

海外だより

【シンガポール】
チャイニーズニューイヤーについて

公開日:2025.09.22

長野 雄貴

シンガポールは、人口の約74%を中華系が占めており、クリスマスが終わるとチャイニーズニューイヤー(旧正月)を祝福する雰囲気に包まれます。この時期には、幸福や繁栄を象徴する“赤”や富や成功を意味する“金”を取り入れた装飾で街中が彩られ、特に中華系が多いチャイナタウンでは、夜もライトアップが続きます。今回は、シンガポールでのチャイニーズニューイヤーにおける特徴的な習慣やイベントをご紹介します。

チャイナタウンの様子(巳年に合わせたモニュメントも出現)

柑橘の交換

旧正月になると、2個の柑橘を手にした人々を多く見かけます。中国語でマンダリンオレンジは、「桔子」と表記され、「桔」の発音が「吉」と同じ発音であることから、縁起が良いとされています。また、偶数は調和や均衡の意味を持っているため、縁起の良い数として好まれています。新年を迎えると人々はお互いの幸福を祈りながら、柑橘を贈り合います。
人々が柑橘を買い求めるこの時期には、スーパーや市場の店先に数多くの柑橘が並び、多くの愛媛産の柑橘も販売されています。
旧正月のイベントの一環として、社員へ柑橘を配布する企業等もあり、柑橘王国である愛媛県とも親和性が高い文化となっています。

社員向けに配布された愛媛県産柑橘

紅包

日本のお年玉と似た習慣として、「紅包」があります。赤い封筒にお金を入れて、福を分け与えるとの意味を込めて旧正月に渡す習慣があります。一般的には、“既婚者から未婚者”に紅包を渡しますが、これ以外にも“上司から部下”、“働いている子から親”など幅広い場面で渡されており、日本のお年玉文化とは異なります。
金額について、特にルールはありません。S$20(約2千円)以下であることも多く、少額でも問題ありませんが、縁起の良い偶数の金額を新札で渡すことが通例です。一方、貨幣や縁起が悪いとされる“4”が付いた金額は避けられています。

旧正月グルメ“魚生”

魚生とは、1960年代に中華系シェフらが考案したとされるシンガポール発祥の旧正月料理です。魚の刺身や色鮮やかな野菜をワンプレートに敷き詰めた華やかな見た目が特徴的です。
「魚生」の料理名には、縁起の良い意味が込められており、「魚」と同じ発音の「余」は「豊かさ」を表しています。また、「生」と同じ発音の「升」は、「上昇」を意味しています。
日本の「おせち料理」のように、魚生に使用されている食材にも、それぞれ意味が込められており、例えば、刺身は富と繁栄、ピーナッツは長寿などを表し、新年への願いが込められています。
食べ方も特徴的で、家族や友人と集まり、それぞれの願い事を声に出しながら、具材を高く持ち上げてかき混ぜます。この動作には、豊かさが高まるようにとの願いが込められています。

旧正月グルメ“魚生”

旧正月を祝うチンゲイ・パレード

1973年からシンガポールでは、旧正月に合わせてチンゲイ・パレードと呼ばれるイベントが開始されました。「チンゲイ(粧芸)」という言葉は「仮装の技や芸術」の意味があります。
当時、旧正月には爆竹を鳴らす風習がありましたが、政府が安全面を考慮して禁止しました。その代わりに、中華系の人たちが楽しめるイベントとして考案されたことが始まりだと言われています。
現在では、中華系のみならず、さまざまな国の方々がユニークな仮装をして、踊りなどのパフォーマンスを披露し、大勢の観客を魅了するシンガポール最大級のパレードとなっています。

チンゲイ・パレードの演出

おわりに

シンガポールで、初めてチャイニーズニューイヤーを過ごし、日本のお正月とは違った文化も多く、貴重な経験をすることができました。
また、当地での文化に注目して、地元の柑橘を売り込むなど、ビジネスにも結び付けられることを学びました。今後もさらに視野を広げて、各国の文化にも着目しながらビジネスチャンスを探っていきたいと思います。

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