【タイ】
バンコクの地震被害について
公開日:2025.09.22
2025年3月28日にミャンマー中部で発生した地震により、約1,000キロも離れた隣国タイのバンコクでも建設途中のビルが倒壊するなどの被害が発生しています。バンコクには地震断層帯が無く、最も近い地震断層帯はミャンマーやスマトラ島など、バンコクから遠く離れており、地震のリスクは比較的低いといわれていました。本地震はバンコクでも過去最大級であり、発生当日は大きな混乱に見舞われました。今回は、本地震による被害状況ならびに現地の状況をお伝えします。
INDEX
地震発生時の状況について
オフィスビル(30階建て)の6階で執務中であった13時20分頃に地震が発生しました。発生当初は大きな揺れを感じることはなく、日本人スタッフと「地震かな?」と会話していましたが、段々と横揺れが大きくなり、机に手をついていなければ立っているのが難しいような揺れを感じました。
私自身の体感としては震度2~3の揺れが1分半ほど続いたように感じましたが、地震を経験したことが無いタイ人スタッフからは叫び声に近い声がフロア全体に広がっていました。
地震の揺れが収まった後、避難アナウンスに従ってビルから出ると、周辺で勤務する人達が集まっていました。
地震発生後、電話やネットがつながりにくくなりましたが、建設途中のビルが倒壊した動画が拡散され、近くの見慣れた高層マンションの高層階からプールの水が地上に流れ落ちていく状況を見て、被害の大きさを実感しました。
地震による混乱
BTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)が運行を停止したことや、帰宅を急ぐ人たちが一斉に車を利用したことにより、バンコクの至るところで大渋滞が発生しました。
郊外の製造工場で勤務する弊行取引先は、通常であれば1時間半で帰宅できるところ、5時間以上かかったそうです。また、バンコク市内の多くの高層オフィスビルが点検を理由に入館を規制したことから、付近の公園で一夜を過ごす帰宅困難者も多く見られました。
緊急事態であることから私自身も15時頃にオフィスを出て、自宅まで徒歩で帰宅しました。帰宅途上、普段は観光客などでにぎわっているプロンポン駅周辺のショッピングモール近辺を通りかかると、非常ベルが鳴り響き、飲料水を求める人達がコンビニに殺到していました。
タイの現状について
地震発生の翌日には公共交通やショッピングモールは通常通り再開しました。ひび割れ等の破損の激しい超高層マンションでは一部立入禁止が続いていますが、4月3日の夕刻時点では大きな余震も発生しておらず、普段の生活に戻っています。
タイのコンドミニアム協会は2007年以降に建設された高層建築物は地震対策基準を満たしていると声明を出しており、日本国内でも報道されていた建設途中のビル以外の倒壊は確認されていません。
しかしながら、地震が無いといわれてきたバンコクで地震が発生した衝撃は大きく、2025年4~6月の不動産販売件数は大きく落ち込むことが予想されています。また、不動産仲介業者からの情報によると、「高層マンションから低・中層マンションに転居を検討したい」との相談が少しずつ増えてきているようです。
おわりに
タイは東南アジアでシンガポールに次いで二番目に発展している国とも呼ばれていますが、今回の地震によって建物の脆弱性が露呈してしまいました。
今回の地震を契機に、今後、タイが先進国入りに向けて社会がどのように変化していくのか注視していき、ビジネスチャンスにつながるヒントを見つけることができるよう引き続き情報収集に励んでいきます。
一覧へ戻る