金融と大学との異業種連携
公開日:2025.09.22
人は自分と異なる人種に出会うと成長すると言われています。それが自分の価値観と遠ければ遠いほど多くの気付きを得ることができると実感した経験が2つあります。
1つめは、郵政省(現総務省)において研究開発を行う会社に出融資をする認可法人の監督を3年間(1995年~98年)務めた時のことです。予算要求や大蔵省に出資の認可をもらうための協議を行う、昔で言うMOF(Ministry of Finance;大蔵省(現財務省))担で、出融資を扱うため金融知識が不可欠な業務です。当時勤務していた課に4名の銀行マンが出向していました。非常に優秀な方々で各銀行のエース。私の採用は技術ですが、専門が多変量解析だったので経済・経営には親和性があり、そのエースから会社の貸借対照表及び損益決算書の読み方など教えてもらえ、有益な経験となりました。
2つめは、2021年~24年までの3年間勤務した大阪大学で、あるベンチャー企業の設立に携わった時の話です。会社名は大阪大学フォーサイト㈱。大阪大学の100%出資子会社で、大阪大学の知見を活用し企業等にコンサルタントを行う会社です。会社設立には文部科学省の認可が必要なため、文科省が財務省と協議を行う必要がありました。文科省の担当者と財務省への対応を一緒に行なったのですが、ここで、会社設立に必要な会社の定款や財務諸表の作成等、MOF担だった経験が大いに役立ちました。大阪大学フォーサイトから学んだことは、課題設定が大切であること、アンケート等だけでは本当のニーズはつかめず、お客様の行動を観察し新たな価値(商品・サービス等)を見出すこと(民族学から派生したエスノグラフィーの応用)です。この経験も私の成長につながり、今後の業務に活かすことができると思っています。
四国の人口は1985年の423万人をピークに昨年は365万人まで減少しています。人口減少に歯止めをかけるには新しい産業を興し、就職口を増やす必要があると考えています。大阪大学発ベンチャーは252社あります。四国には多くの大学が存在し、四国以外からの学生もたくさん来ています。これら大学を中心としたベンチャー創出、新産業を興したいと考え、微力ながら私の経験を愛媛大学と大阪大学との共同プロジェクトの促進等に活かすべく、これからも取り組んでまいります。
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