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【ベトナム】 変化するベトナムの交通インフラ

海外だより

【ベトナム】
変化するベトナムの交通インフラ

公開日:2025.09.22

田中 貴也

ベトナムでは、世帯の約9割がバイクを保有しています。自動車に比べて購入・維持コストが低く経済的であること、狭い道路や路地が多い都市構造に適していること、公共交通機関が十分に整備されていないことなどが理由です。2024年末にホーチミン市で地下鉄(都市鉄道)1号線が開業しました。今回は、現在進められているベトナムのインフラ整備計画を通じて、変化しつつある交通網の姿をご紹介します。

変わる陸のインフラ

ベトナムにおける最初の地下鉄開業は、2021年11月の首都ハノイの地下鉄1号線です。2008年、交通・運輸省により建設が承認され、中国政府の支援を受けて事業がスタートしました。2013年に完成する予定でしたが、用地収用の遅れから着工は2011年10月に延期され、設計変更なども重なり2018年11月にほぼ完成します。しかし、安全検査に関するベトナム側と中国側の認識の違いから調整に時間を要し、開業がずれ込みました。
一方、ホーチミン市の地下鉄1号線は、ハノイよりも早く2007年に計画が承認されました。日本の政府開発援助(ODA)の支援を受け、2018年の開業を目標に進められましたが、資金配分の遅れや契約手続きの煩雑さなどで着工は2012年になりました。その後も工事の遅延や新型コロナウイルスの影響も重なり、開業は大幅に延期され、2024年12月22日に運行を開始しました。南北両都市で地下鉄が走り始めたこの日は、ベトナムの交通インフラにとって歴史的な節目となりました。

地下鉄利用者とマナーについて

ホーチミン市の地下鉄1号線は、開業後30日間は運賃が無料だったこともあり、当初想定されていた57万5,000人の3倍にあたる170万人以上の乗客が利用しました。この数字は、ベトナム初の都市鉄道であるハノイの地下鉄初年度年間利用者数(約740万人)の約2割に相当し、市民がいかにこの地下鉄の開業を待ち望んでいたかが伝わってきます。
私もさっそく乗車を試みましたが、大変な混雑ぶりで、結局断念することになりました。開業以降、ニュースやSNSではさまざまな情報が発信されており、中には驚くような行動も見受けられます。たとえば、つり革で懸垂をする人や、ペットを連れ込む人、さらには“映え”を狙って派手な服装で乗車し、座席を占領して写真撮影をする人など、日本では見られないような行動も目立ちました。こうした状況を受けて、駅員による巡回や場内アナウンスによる注意喚起が強化され、マナー向上を呼びかける取り組みが進められています。

変わる空のインフラ

タンソンニャット国際空港をご利用になったことがある方はご存じかと思いますが、現在の出入国審査での混雑は深刻です。日本からの長時間フライトの後に、入国審査で1時間半以上待たされたという話も珍しくありません。

2024年、ベトナムを訪れた外国人観光客は1,750万人と、前年比40%増加しました。しかし現在の空港設備では対応が追いつかず、混雑解消が急務となっています。そこで期待されているのが、ホーチミン市中心部から約1時間の距離に建設中の「ロンタイン国際空港」です。当初は2025年末の完成予定でしたが、昨年末に2026年末へと延期されました。さらなる遅れも懸念されています。ベトナム政府はこの遅れを重く受け止め、首相自ら現地を視察し、早期完成を強く要請しています。

ロンタイン国際空港の開港に先立ち、2025年4月30日には、タンソンニャット空港に国内線専用の新ターミナルが完成しました。

ロンタイン国際空港開港後は、多くの国際線がタンソンニャット国際空港から移管される予定です。しかし、ロンタイン国際空港は、市中心部からのアクセスインフラが現状十分に整備されていないことから、渋滞の悪化などが懸念されており、期待と不安の双方の声が上がっています。

おわりに

ベトナム政府は、今回ご紹介した他にも首都ハノイと南部の経済中心地ホーチミン市を結ぶ「南北高速鉄道プロジェクト」など大規模なインフラ整備を計画しています。インフラが整うことで、ホーチミン市内の地下鉄沿線上のマンションの価格は徐々に値上りしています。また、駅中に売店をつくる計画があるなど、新たなビジネスチャンスも生まれています。地下鉄1号線をはじめとした都市鉄道の整備は、まだ発展の途上にありますが、これらの動きは今後のベトナムの都市・経済の成長を後押しする原動力になると考えています。

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