世界にいまこそ必要なのはSDGsとウェルビーイング
(SDGパートナーズ有限会社 代表取締役CEO 田瀬 和夫)
公開日:2025.09.22
みなさんこんにちは。サステナビリティを推進する会社、SDGパートナーズ代表の田瀬和夫です。世界が激変する中でみなさんにメッセージをお届けできることを嬉しく思います。
私は家族の仕事の都合で米国ワシントンDCに住んでいますが、現在のトランプ政権と世界の混乱を目の当たりにしていると、いままさにアメリカを含めた世界に必要なものは、「誰ひとり取り残さない」という考え方、つまりSDGsなのではないかと感じます。
トランプ大統領の政策には理解不能なものが多く(関税しかり、留学生追放しかり)、アメリカ自身の分断を深め、また経済を弱くするものです。しかし私たちが直視すべきは、この政権を生んだこの国の絶望的な「格差」でしょう。一方で経済的に成功し、大きな家に住み、子どもをトップ大学に行かせられる富裕層がたくさんいます。他方で、大学に行けず、低い時給でなんとか食いつなぎ、医療を受けられず、家を買うなど夢のまた夢という人々が何千万人もいるのです。この政権は明らかに、そうした人たちの不満と怒りが生んだ政権です。
歴史を見ても、共産主義は資本主義が生んだ「格差」に端を発しています。第二次世界大戦さえ、世界大恐慌が引き起こした「持てる者と持たざる者」の格差が遠因であったと言って過言ではありません。冷戦終了後の世界でも9.11テロ(私はあの瞬間NYの国連ビルにいました)や「イスラム国」の台頭は、地球規模での格差への怒りと見ることもできるのです。つまり、近代において、人類の最大の敵は格差なのです。だからこそ2015年にSDGsは「誰ひとり取り残さない」と宣言しました。
ただ注意すべきは、人の人生はお金だけではないということです。私たちは経済格差の解消を第一に考えがちですが、よく考えるとお金持ちでも不幸な人はたくさんいるし、お金がなくても最高の人生という人はたくさんいます。最低限の生活保障は重要であるものの、そこから先で人が幸せかどうかは別の尺度が必要かもしれません。
そこで議論されているのが「ウェルビーイング(よく生きる)」という考え方です。単に健康であるとか、裕福であることにとどまらず、生きがいはあるか、人の役に立てているか、大切な人と繫がっているか、そうした人間のさまざまな側面を世界は正面から認めるべきではないか。これが2030年のその先に、SDGsの次に人類が目指すべきものであるという議論がなされています。私もまったく同感です。
世界にいまこそ必要なのはSDGsとウェルビーイングではないでしょうか。異なる人々が認め合い、助け合い、それぞれの生きがいを見いだせるような世界となることを願います。そして、そのために何かできることをしようと思います。そして日本ができることはとても大きいと感じています。
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