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【税務編】 電子取引における重加算税加重措置の見直し

経営・実務Q&A

【税務編】
電子取引における重加算税加重措置の見直し

公開日:2025.09.22

和泉会計事務所 税理士 和泉 真紀夫

Q. 令和7年度税制改正により、電子帳簿保存法の電子取引制度において「電磁的記録に係る重加算税の加重措置」が見直されたと聞きました。詳しく教えてください。
A. 国税庁長官の定める基準に適合するシステムを使用して一定の電子取引データを授受した場合の隠蔽・仮装行為については、重加算税の10%加重措置の適用対象外となります。

電磁的記録に係る重加算税の加重措置

令和3年度税制改正で創設された「電磁的記録に係る重加算税の加重措置」とは、電子取引データの複製・改ざん行為を抑止するため、電子取引データに関連し、隠蔽または仮装があった場合には、重加算税の割合を10%加重するというものです。

加重措置の適用対象外

近年、請求書や納品書など、データ連携に適した電子取引データを授受した場合に、人の手を介さずともその保存や処理を自動で行い、事業者の事務負担軽減につながるシステムの利用が増えつつあります。
令和7年度改正では、このようなシステムを使用した電子取引データに関連する仮装・隠蔽行為について、その適用範囲が見直されました。具体的には、国税庁長官の定める基準に適合するシステムを「特定電子計算機処理システム」と定義し、事業者等が同システムを使用した上で、一定の保存要件を満たす電子取引データ(特定電磁的記録)を同措置の適用対象外としています。
ここでいう一定の保存要件とは、「①改ざん防止の確保」、「②記帳の適正性確保」、「③電子帳簿との相互関連性確保」を指し、保存義務者はこれらの保存要件を満たしていることを確認できるようにしておくため、あらかじめ所轄税務署長に届出書を提出する必要があります。また、電子取引データの送受信・保存にあたっては、保存要件のほか、「見読可能装置の備付け」、「システムの概要書の備付け」、「検索機能の確保」の各要件を満たす必要があります。
なお、国税庁長官の定める基準とは、電子インボイスの仕様としてデジタル庁が管理するペポル形式の仕様、または、金融機関等が預金口座等に係る資金を移動させる為替取引に係る仕様を指しており、ベンダー側はシステムの開発に際し、いずれかの仕様を選ぶことになります。
なお、こちらについては、令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

青色申告特別控除の適用対象の見直し

前述の改正に伴い、所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の適用要件について、仕訳帳等につき国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていることに代えて、特定電子計算機処理システムを使用するとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録のうち、その保存が当該特定電子計算機処理システムを使用して、2.で述べた要件を満たすことができるものは、当該要件に従って保存を行っているとすることを可能とするほか、所要の措置が講じられます。
なお、こちらについては、令和9年分以後の所得税について適用されます。

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