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各種調査レポート

暮らし向きは現在、見通しともに改善 マイナス水準が続くも、賃上げや物価高対策が奏功 ~2025年12月消費者アンケート結果~

調査レポート

暮らし向きは現在、見通しともに改善
マイナス水準が続くも、賃上げや物価高対策が奏功
~2025年12月消費者アンケート結果~

公開日:2026.01.28

續木 美和子

要旨

1.2025年12月時点の暮らし向きDIは、2024年12月調査(前回調査)から2.6ポイント改善し、

▲37.4となった。今後の見通しは、1.6ポイント改善し▲35.8となった。

2.収入DIは前回調査から4.6ポイント改善し▲10.0となった。今後の見通しは、1.0ポイント改善し、▲9.0となった。

3.消費支出DIは前回調査を1.4ポイント下回り47.2となった。支出が増えた理由は、「必要な物やサービスの値段上昇」が78.7%となった(前回比+1.9ポイント)。今後の見通しは、現在より4.4ポイント上昇し51.6と引き続き高水準が続く。

4.この1年間での支出増減では、「食料品」のDIが70.4と前回調査から1.8ポイント低下したものの、米価格の高騰などを背景に高止まりしている。「外食」や「旅行」は小幅ながら改善がみられたが、物価上昇が継続するなか、生活必需品以外への支出には慎重な姿勢がうかがえる。

5.景況感DIは、前回調査から4.8ポイント改善し▲49.8となった。今後の景況感の見通しは11.0ポイント改善の▲38.8となった。

6.暮らし向きDIは依然としてマイナスの水準となったが、改善の傾向がみられた。これは生活必需品の価格が高い水準にあり、家計への負担が重くなっているものの、継続した賃上げや政府の物価高対策が奏功したと思われる。世代別にみると、賃上げの恩恵を享受しにくいシニア層では暮らし向きや収入において厳しい見方が強い。一方で20歳代を中心とする若い世代には改善がみられている。個人消費を増やす観点からは、シニア層の暮らし向きに配慮しつつ、若い世代や現役世代の消費を喚起することが必要といえるだろう。

はじめに

10月の松山市の消費者物価指数は、前年同月比2.7%上昇し、45ヵ月連続で前年を上回った(図表−1)。愛媛県においても賃上げの動きは続いているが、物価上昇分を差し引いた実質賃金はマイナスの状態にある(図表−2)。

このようななか、県内消費者の暮らし向きや収入、支出、景況感などを調査した。

 調査概要は以下のとおり。

【DI(Diffusion Index)とは?】

 本レポートでは、「良くなった(なりそう)」「変わらない」「悪くなった(なりそう)」の中から回答を選んでもらい、「良くなった(なりそう)」との回答割合(%)から「悪くなった(なりそう)」との回答割合(%)を差し引いたものをDIとする。

暮らし向き

〔暮らし向きDI〕2.6ポイント改善

 家計のゆとりをあらわす暮らし向きDIは、2024年調査(以下、前回調査)から2.6ポイント改善し▲37.4となったが、マイナスの状態が続く(図表−3)。年代別では、20歳代のDIがプラス転換(▲13.2→5.7)したものの、それ以外の世代はマイナスとなった(図表−4)。

 今後の見通しは1.6ポイント改善し▲35.8となった。年代別でみると、20歳代のマイナス幅は他の世代に比べて小さい。

収入と支出

【収入】世代間で差

 1年前と比べた現在の世帯収入は、全体では「増えた」が12.6%「変わらない」が64.8%、「減った」が22.6%となった(図表−5)。今後の見通しは、「増えそう」が14.2%と小幅ながら増加したものの、「変わらない」が6割を超えた。

 年代別にみると、「増えた」は30歳代(26.1%)が最も多く、次いで40歳代(18.3%)、20歳代(17.0%)となった。今後の見通しは、若年層で「増えそう」の割合が20%を超えている。特に20歳代(25年比13.2ポイント増の30.2%)と40歳代(同5.4ポイント増の23.7%)で収入増への期待感の高まりがみられた。一方で、シニア層(50歳代・60歳以上)では「増えそう」が6%程度にとどまっており、収入に対する見通しは世代間で差がみられた。

〔収入DI〕4.6ポイント改善

 収入DIは前回調査から4.6ポイント改善し、▲10.0となった(図表−6)。年代別では、すべての年代でDIが改善し、20歳代と30歳代でプラス転換した(図表−7)。

 今後の見通しは、1.0ポイント改善し、▲9.0となった。年代別では、シニア層では収入に対する見通しは厳しくなっており、DIがマイナス推移する一方、20歳代では「増えそう」の回答割合が3割を超え、DIは20.8と大幅に上昇した。

〔消費支出DI〕高水準での推移が続く

 消費支出DIは前回調査比1.4ポイント低下し、47.2となった(図表−8)。前回調査を下回ったものの、22年以降、物価上昇を背景に高水準での推移が続く。年代別では、40歳代を除き、横ばいもしくは低下となった(図表−9)。

 今後の見通しは、4.4ポイント上昇し51.6となり、引き続き高水準が続く。年代別では、ほとんどの年代で、現状よりも支出が増える見通しとなった。

 「(1年前より)支出が増えた」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「必要な物やサービスの値段上昇」(78.7%)の割合が最も多く、大きく差を空けて「欲しい物やサービスが増えた」(12.3%)、「車など耐久消費財の購入」(8.7%)が続く(図表−10)。食料品を中心とした生活必需品の価格上昇が背景にあると考えられる。


 年代別にみると、「必要な物やサービスの値段上昇」は20歳代を除くすべての年代で高水準となった(図表−11)。一方、「欲しい物やサービスが増えた」や「外出機会(外食や旅行等)の増加」は30歳代が最も高く、他の年代と比べると物価上昇下においても、消費意欲の高まりがみられた。

今後1年間の支出を考えるにあたって重視することは、全体では、「今後の物価の動向」(65.0%)が最も多く、次いで「収入の増減」(36.6%)、「貯蓄や株式、不動産など保有資産の増減」(11.4%)となった(図表−12)。年代別では、20歳代では「収入の増減」(47.2%)、その他年代では、「今後の物価の動向」が最多となった。

費目別の支出動向

〔この1年間での支出増減〕食料品が高止まり

 「この1年間で支出が増えたもの・減ったもの」を尋ねたところ、「食料品」のDIが70.4と最も高く、次いで「光熱・水道」(49.6)、「ガソリン・交通費」(36.6)となった(図表−13)。前回調査と比べるといずれも低下したが、依然として高い水準にある。米価格の高騰が続くなか、生活必需品のDIは高止まりしており、家計の重荷となっている。一方、「外食」「旅行」「教養・趣味・娯楽」「ファッション商品」は小幅な改善がみられた。

 年代別でみると、「食料品」「水道・光熱」、「ガソリン・交通費」は年代が上がるほどDIが上昇する傾向がみられた。また、他の年代よりも生活必需品への負担が少ないと考えられる20歳代と30歳代は「旅行」や「教養・趣味・娯楽」などの選択的支出に前向きな姿勢がみられた。

 

〔今後の支出について〕18費目中13費目がマイナス

 今後の支出では、「光熱・水道」(▲24.8)や「電話代など通信費」(▲18.6)、「ガソリン・交通費」(▲18.6)、など18費目中13費目でDIがマイナスとなった(図表−14)。DIがプラスとなったのは、「旅行」(15.4)、「教養・趣味・娯楽」(9.0)、「教育費」(2.2)など5費目だった。

 前回調査と比べて生活必需品への節約姿勢は弱まっているものの、「旅行」や「教養・趣味・娯楽」など選択的費目への支出意欲の高まりはみられていない。

 年代別でみると、すべての年代で「外食」はマイナス、「旅行」と「教養・趣味・娯楽」はプラスとなった。

 

物価の実感

〔物価〕8割超が物価上昇を実感

 物価が1年前と比べて上昇した(かなり上がった・少し上がったの合計)と感じている人の割合は、前回調査比3.4ポイント低下し85.2%となった (図表−15)。また、1年後の物価について上昇を見込む割合は3.6ポイント低下し81.6%となった。内訳をみると現状と比べて「かなり上がる」割合が少なくなっており、物価上昇の勢いが弱まると見込んでいるようだ。

景況感

〔景況感DI〕現在、見通しともに改善

 景況感DIは、4.8ポイント改善し▲49.8となった(図表−16)。年代別では、30歳代を除きDIは改善した(図表−17)。

 今後の見通しは、11.0ポイント改善し▲38.8となった。ガソリン暫定税率の廃止など政府の物価高対策や賃上げが景況感の改善につながったと考えられる。DIはマイナス圏であるが物価上昇前の21年の水準まで回復した。年代別では、すべての年代で改善見込みであり、特に20歳代は17.0ポイント改善の▲7.5となった。

ボーナスの使いみち

 ボーナスの支給がある人にボーナスの使いみちを尋ねた(図表−18)。「貯蓄」(57.0%)が最も多く、次いで「生活費の補てん」(34.8%)、「投資」(16.0%)、「国内旅行」(13.9%)となった。 

 年代別にみると、20歳代は「投資」(27.0%)や「国内旅行」(24.3%)で全体を10ポイント以上上回ったほか、「海外旅行」や「家具等」もほかの年代よりも高い傾向がみられた。

おわりに

 今回のアンケートでは、暮らし向きDIは依然としてマイナスの水準となったが、改善の傾向がみられた。これは生活必需品の価格が高い水準にあり、家計への負担が重くなっているものの、継続した賃上げや政府の物価高対策が奏功したと思われる。

 世代別にみると、賃上げの恩恵を享受しにくいシニア層では暮らし向きや収入において厳しい見方が強い。一方で20歳代を中心とする若年層には改善がみられる。

 暮らし向きの改善には、物価の安定した推移と物価上昇を上回る賃上げが必要であり、企業の賃上げや政府の物価対策の効果に期待したい。また個人消費を増やす観点からは、シニア層の暮らし向きに配慮しつつ、若い世代や現役世代の消費を喚起することが必要といえるだろう。

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