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百年という時間の長さ

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百年という時間の長さ

公開日:2026.02.02

慶應義塾大学 経済学部 教授 株式会社いよぎん地域経済研究センター 顧問 白塚 重典

 昨年2025年(令和7年)は、1926年(昭和元年)から数えてちょうど百年目にあたる「昭和百年」として、さまざまな施策やイベントが展開された。2026年(令和8年)の今年も、昭和が満百年を迎える計算になり、政府はむしろ今年を「昭和百年」としてさまざまな施策を展開するようである。例えば、昭和天皇の誕生日であった昭和の日(4月29日)には、昭和百年記念式典が予定されている。

 昭和の時代は、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代であった。そうして、戦争の大きな犠牲という経験から、平和を希求する道を歩んできた。そうした百年を振り返り、その教訓を次世代に継承していく、そんな一年にしていければよいと思う。

 ただ、百年という時間は極めて長い。すでに、平成以降生まれの世代が総人口の4割近くを占め、社会を支える中核となりつつある。これからの世代が暮らす、先行き百年はどうなるのであろうか。

 長期予測でもっとも確度が高いのは人口推計である。日本の人口は、昭和元年の1926年には6,000万人程度だった。2025年は、1億2,300万人程度なので、人口は2008年から10年ごろのピークの1億2,800人程度からは500万人近く減少しているが、なお昭和元年の倍程度の規模となっている。

 では、平成百年の2088年、令和百年の2118年はどうであろうか。コロナ禍後、出生率が低下しているため、将来人口推計の中でも出生数低位の推計をみることにすると、2088年は6,200万人と現在のほぼ半分で、昭和元年とほぼ同水準にまで戻ることになる。令和百年の2118年には、人口はさらに減少し、3,700万人程度と現在の3割程度になる。この人口規模は、昭和から大正、明治と遡り、明治16年(1883年)ごろの水準となる。今後、人口減少ペースは加速していく。

 日本経済の将来を展望する場合、人口減少が展望される中、一人当たり所得が着実に増加するのであれば、GDPの総額は減少しても仕方ないという考え方もある。ただし、当面の日本経済の課題として、名目GDPの2倍を超える極めて巨額の政府債務をどう管理していくかという大きな問題がある。今後、団塊ジュニア世代が引退していき、高齢化がピークに達する局面を迎える。この局面を乗り越え、人口構造が安定化し、緩やかに人口が減少していく局面にまで辿り着くまで、経済の絶対的な規模を拡大させていくことも重要である。

 政府の経済政策は、百年先を見据えた責任ある運営が求められる。同時に、それを実現するためには、企業のイノベーション、生産性の向上が不可欠である。同時に人口減少社会は、国内市場規模が縮小していく過程でもある。物価上昇率、賃金上昇率、金利がプラスになる大きな経済金融環境の変化の中、目先の課題だけでなく、中長期的な視点から事業戦略を考える視点も大切にして欲しい。 

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