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各種調査レポート

冬のボーナスは前年を1.7%上回る ~2025年冬季 県内民間企業ボーナス支給見込みアンケート結果~

調査レポート

冬のボーナスは前年を1.7%上回る
~2025年冬季 県内民間企業ボーナス支給見込みアンケート結果~

公開日:2025.12.01

續木 美和子

2025年4〜6月期の実質GDP(2次速報値)は前期比+0.5%となった。一方、2025年7〜9月期(1次速報値)は、輸出減や住宅投資の落ち込みなどが全体を押し下げ、同▲0.4%と6四半期ぶりにマイナス成長となった。
県内経済は、生産や住宅着工など一部に弱い動きがみられるものの、全体としては緩やかに持ち直している。ただし、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや、長引く物価高による個人消費の減速など先行きには不透明感が残る。
こうしたなかIRCでは、この冬の県内民間企業のボーナス支給動向を把握するため、アンケートを実施した。以下、その結果を報告する。

要旨

.この冬の県内民間企業の正社員1人当たりボーナス支給見込み額(以下、ボーナス支給見込み額)は、前年を1.7%上回る43.8万円となり、4年連続で前年を上回った。

. 部門別のボーナス支給見込み額の増減率は、製造業が前年比7.9%増、非製造業が同0.1%増となった。

.ボーナス支給見込み額が前年から「増加」する企業の割合は47.9%、「横ばい」は29.8%、「減少」は22.3%となった。

.ボーナス支給見込み額が、前年を上回る要因は「定例給与引き上げに伴うもの」、前年を下回る要因は「業績不調」が最も多かった。

. この冬のボーナス支給見込み額は前年を上回ったが、一部では企業の足踏み感も見られており、「賃金と物価の好循環」を持続できるかどうかの正念場を迎えつつある。


調査概要

県内民間企業のボーナス支給見込み額

~前年比1.7%増、4年連続で前年を上回る~

 アンケート結果および経済センサスに基づいて推計した2025年冬の県内民間企業のボーナス支給見込み額(正社員1人当たり、税込み、以下同様)は43.8万円となり、前年の支給実績と比べて1.7%増加し、4年連続で前年を上回った(図表-1)。部門別にみると、製造業は前年比7.9%増の54.8万円、非製造業では同0.1%増の41.6万円となった。

ボーナス支給見込みの有無

~94.3%が支給する見込み~

 ボーナス支給の有無について尋ねたところ、94.3%の企業が「支給する」と回答した。「支給しない」は5.7%だった(図表-2)。

増加・横ばい・減少の割合

~「増加」する見込みの企業は47.9%~

 ボーナス支給見込み額が前年から「増加」する企業の割合は47.9%(前年比3.2ポイント低下)、「横ばい」の企業は29.8%(同1.5ポイント低下)、「減少」する企業は22.3%(同4.7ポイント上昇)であった(図表-3)。

前年と比べた増加・減少の要因

~増加要因は「定例給与引き上げに伴うもの」、 減少要因は「業績不調」が最多~

 ボーナス支給見込み額について、前年と比べた増加要因は、「定例給与引き上げに伴うもの」(45.4%)が最も多く、次いで、「社員のモチベーションアップのため」(44.7%)、「物価上昇・インフレへの対応」(36.2%)、「業績好調」(22.0%)となった(図表-4)。「定例給与引き上げに伴うもの」は2023年冬調査時からは14.8ポイントの上昇となった。

 一方、前年と比べた減少要因は、「業績不調」(51.0%)が最も多く、次いで、「従業員の年齢構成の変化(若返り)」(26.5%)、「資源高・原材料高による収益減」(24.5%)となった(図表-5)。また、回答割合は低いが、「給与体系の変更・見直し」は、23年冬調査時から13.9ポイント上昇の16.3%となった。

部門別の増減

~従業員規模の大きい製造業が増加~

 部門別の増減割合をみると、「増加」は製造業(54.0%)が非製造業(44.9%)を上回った。製造業の中でも従業員規模が大きくなるほど「増加」の割合が高まり、100人以上では64.1%となった(図表-6)。

~製造業は一部で業績好調、非製造業は定例給与 の引き上げにより増加~

 増加要因を部門別にみると、製造業では「物価上昇・インフレへの対応」(40.0%)や「社員のつなぎとめ、流出防止」(24.0%)といった防衛的な引き上げに加え、「業績好調」(28.0%)による増額が非製造業より高い傾向がみられた。非製造業では「定例給与引き上げに伴うもの」(50.5%)が製造業(36.0%)を大きく上回った(図表-7)。

業種別の増減

~製造業の一部で高い伸び~

 製造業では、「化学」(前年比29.6%増)、「機械・金属」(同12.6%増)など4業種が前年を上回る一方、「紙・パルプ」(同2.7%減)、「印刷」(同0.6%減)の2業種は前年を下回った。

 一方、非製造業では、「運輸」(同3.9%増)、「建設」(同2.2%増)など3業種で前年を上回る一方、「小売」(同0.6%減)、「サービス」(同0.2%減)が前年を下回った(図表-8)。

 足元の収益状況別

~収益状況が「変わらない」「悪くなった」企業においても3~5割は「増加」~

 半年前と比較して足元の収益状況が「良くなった」が14.8%、「変わらない」が60.4%、「悪くなった」が24.8%となった(図表-9)。

足元の収益状況が「良くなった」企業のうちボーナス支給見込み額を「増加」する割合は60.5%、「変わらない」「悪くなった」企業においても3~5割となった(図表-10)。前年調査と比較すると、収益状況が「良くなった」企業においては、ボーナス増額に慎重な姿勢がみられる。一方、収益状況が「悪くなった」企業においては、「減少」が17.5ポイント上昇の42.5%となり「増加」(35.6%)を上回った。

賃上げ見通し(2026年度)

~65.9%が「増額」予定~

 正社員を対象とした2026年度の賃上げ(平均月給の改定予定)では、「増額」が65.9%、「据え置き」が19.0%、「未定」が15.1%となった(図表-11)。

「賞与の給与化」について

~約1割が「検討している/既に決定」~

 「賞与の給与化」については、「検討している/既に決定」が10.6%、「検討していない」(70.4%)などとなった(図表-12)。検討していない企業でも、「今後の周囲の動向をみて、見直しするかどうか考える」といった声が聞かれた。全国では、大手企業を中心に導入先が増えつつあるが、今後、県内企業にも広がれば、ボーナス支給額の増減に一定の影響を及ぼすことが予想される。

まとめ

 この冬の県内民間企業のボーナス支給見込み額は、定例給与の引き上げなどを主な要因に前年から増加する企業が約半分を占めた。部門別では従業員規模の大きい製造業がけん引し、全体で前年比1.7%増加して、4年連続で前年を上回る見込みとなった。

 一方で、2024年冬のボーナス調査と比べると、ボーナス支給見込み額を減少する企業の割合が5ポイント程度増えたほか、足元の収益状況が良くなった企業の一部でも増額に慎重な姿勢がみられた。

2026年度に賃上げを予定している企業は6割を超えており、来春以降も定例給与の引き上げに伴うボーナス増額の流れは続くと予想される。この冬のボーナス支給見込み額は前年を上回ったが、一部企業では足踏み感も見られており、「賃金と物価の好循環」を持続できるかどうかの正念場を迎えつつあると言えよう。


参考

<県内民間企業の支給見込み総額 ~約1,519億円、前年比1.2%増~>

 アンケ―トおよび毎月勤労統計調査等にもとづき推計した県内民間企業のボーナス支給見込み総額は前年比1.2%増の約1,519億円となった。支給対象人員が前年比0.5%減となったものの、1人当たり支給額が前年比1.7%増となったことで、総額は増加した。

 なお、経済指標や企業業績をもとにした全国の1人当たりボーナス支給予想額は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは前年比2.3%増の42.2万円、日本総研は同2.6%増の42.4万円となっている。

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