【労務編】
最低賃金と健康保険被扶養者認定基準の引き上げ
公開日:2025.11.28
Q. 2025年最低賃金が大幅に上がりました。子供のアルバイト収入も上がるので健康保険の被扶養者認定から外れるのではないかと心配です。
A. 最低賃金の上昇に伴い、税制改正では19歳以上23歳未満の扶養親族に対し「特定親族時別控除」が創設されます。また、健康保険制度も改正され、2025年10月1日以降の配偶者を除く19歳以上23歳未満の被扶養者の年間収入要件がいままでの130万円未満から150万円未満になりました。
各種改定により被扶養者認定が拡大されていますのでご確認をお願いします。
INDEX
最低賃金はまだ上がる?
中央最低賃金審議会において2025年7月11日に発表された新しい資本主義のグランドデザイン実行計画には、「最低賃金について適切な価格転嫁と生産性向上支援により中小企業等事業者の賃上げを後押しし、2020年代に全国平均1500円という目標達成に向けてたゆまぬ努力を継続、官民で最大限の取り組みを五年間で集中的に実施する」と明確に記載されました。
愛媛県における最低賃金は1033円(2025年12月1日施行)となり、来年以降も更に上昇することはほぼ確実です。
税制改正
最低賃金の上昇を受けて2025年税制改正では19歳以上23歳未満の親族等を扶養する納税義務者に対して「特定親族時別控除」が創設され、特定扶養控除要件の見直しが行われました。
健康保険制度の見直し
税制改正に合わせて、健康保険制度における19歳以上23歳未満の被扶養認定基準も改正となりました。
その内容とは2025年10月1日以降の配偶者を除く19歳以上23歳未満の被扶養者の年間収入要件がいままでの130万円未満から150万円未満になるというものです。
19歳以上23歳未満という年齢要件は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢を指します。
例えば19歳の誕生日を迎える年から22歳の誕生日を迎える年までは、年間収入要件が150万円未満に上がりますが、23歳の誕生日を迎える年の年間収入要件は130万円未満に戻ります。
学生である必要はなく、あくまでも年齢によって判断されます。配偶者は対象となりませんのでこの点にはご注意ください。
実務上の留意点
会社は、これらの制度を把握し、従業員に当該対象年齢の被扶養者がいないかをお調べください。
例えば「健康保険の扶養対象者には家族手当を支給する」などと給与規定に定めていた場合、新基準を的確に運用していないと給与に影響が出てきます。
後々トラブルの原因にもなりますので、事前に新認定基準と給与の影響などを従業員に周知しておくことをお勧めします。
健康保険制度改正(2025年10月1日)前の期間について被扶養認定をする場合は130万円未満で判定しますが、制度改正後は、資格取得者の収入が150万円未満であるかを確認していただくことが大切です。
既に扶養認定をしている被扶養者については、10月1日以降年間収入が150万円以上見込まれる場合は被扶養者削除の届け出が必要になります。
その後、扶養認定をしている被扶養者が23歳になった際の収入確認も必要になります。
103万円の壁引き上げの影響で、今後様々な法改正が予定されています。人事労務ご担当者の方は、複雑すぎて気が抜けない日々が続くと思われますが、しっかりと情報をキャッチし理解していただくようお願いします。
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