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ラブブとちいかわから見る 日・中のキャラクタービジネス大合戦

海外だより

ラブブとちいかわから見る
日・中のキャラクタービジネス大合戦

公開日:2025.10.30

長谷川 崇紀

はじめに

 最近、日本の若い世代を中心に爆発的な人気を見せているポップキャラクター「ラブブ(Labubu)」。この夏頃から日本のメディアでも話題に上ることが増えてきたのではないでしょうか。今回は、中国や香港で拡大し続けるIP(知的財産)ビジネス、その中でもキャラクタービジネスのトレンドに焦点を当てたいと思います。

ラブブ・ムーブメント

 ラブブは、香港のデザイナー、カシン・ロン(龍家昇)氏が北欧の神話に着想を得、2015年に誕生しました。その後、2019年から中国のデザイン玩具ブランド、「POP MART」とコラボレーションし、グッズの発売が始まっています。

  ブームに火が着いたのは2024年。韓国の世界的ガールズグループ、BLACKPINKのメンバーの1人がラブブのキーホルダーをバッグに付けているのを目撃されたことがきっかけです。インフルエンサーから人気が一気に広がりました。 

 瞬く間に広まった人気は東アジアに留まらず、そのメンバーの出身であるタイをはじめとした東南アジアにも広がりました。そして、アメリカやイギリスでも現地のPOP MARTには長蛇の列ができていたようです。日本でのブームは、世界的に見ると後発的なのかもしれません。


POP MART内展示のラブブ(全てラブブです)

 上海の最も大きなPOP MARTに足を運びました。上海一番の繁華街である南京東路歩行街に面していることもあり、日本人も含めて非常に多くの観光客で賑わっていました。そしてお目当てのラブブグッズは…売っていません。売られているのはおよそ8%の確率でラブブが入っているブラインドボックス(開封するまで中身が分からない販売形態。大半はラブブ以外のキャラクターが入っている)の商品のみ。同店には何度か足を運びましたがいずれも同じ状態。当面この状態が続くと思われます。

ラブブで拡大するPOP MART、課題も

 ラブブの爆発的人気を受け、POP MARTの運営会社である「泡泡瑪特国際集団」の2025年上半期決算は、売上が前年同期比3倍の138億元(約2,900億円)と、今後も業績の拡大が期待されています。

  一方で課題もあります。最大の課題は偽物の横行です。新品の品薄状態が続くなか、ぬいぐるみをはじめとした玩具の製造や、縫製関連の企業が集積する山東省や浙江省においては、ラブブの偽物が既に多く出回っているようです。

  かつては、外国企業のブランドやコンテンツものの偽物が中国内では当たり前のように流通していました。近年、中国でもIP関連の法整備や執行体制の整備が進んできたことで、都市部では消費者の意識も変わりつつありますが、依然このような話が多いのもまた事実です。

ちいかわ人気は底堅く、勢い止まらず

 日本で最も勢いのあるキャラクターの一つであるちいかわについてみてみましょう。

 ちいかわについては2024年の初め頃より中国や香港、台湾でも人気が広がり始めましたが、その勢いは2025年の今になっても衰え知らずです。特に香港では、この8月から1ヵ月間にわたり大型特別展「CHiiKAWA DAYS」が開催され、会期中の入場者数は10万人を超えました。また、香港現地のマクドナルドとコラボレーションしたりするなど、イベント前から大きな賑わいぶりを見せていました。

香港マクドナルド×ちいかわのコラボレーション商品

 上海では、ちいかわの常設旗艦店がPOP MARTと同じ南京東路歩行街に9月27日にオープンしました。オープンから1ヶ月程度は限定グッズの購入だけでなく、入店するだけでも事前予約が必要という用意周到ぶり。人の流れが落ち着き次第、私も足を運んでみようと思います。

ちいかわ(吉伊卡哇)旗艦店

おわりに

 ちいかわに限らず、日本で人気のあるキャラクターはどんどん中国や香港にも輸出されています。一方で、当然ながら出せば何でも売れる、というわけではありません。今回のラブブのような中国・香港発のキャラクターも出てくることでしょう。その見た目こそ「かわいい」ですが、実際の競争は激しいようです。

中国の動画共有サービス企業BiliBiliプロデュースによる「ちいかわフェラーリ」

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